粟國安彦

粟國 安彦 - 日本のオペラ演出家

粟國安彦（あぐにやすひこ、1941年2月6日 - 1990年1月14日）は、日本のオペラ界で著名な演出家です。彼は東京声楽専門学校（現在の昭和音楽大学）を卒業後、オペラの舞台でキャリアをスタートさせました。彼の人生は、音楽と演出への情熱に満ちており、多くの名作オペラを世に送り出しました。

経歴のハイライト

山口県南大東島で生まれた粟國は、1969年に藤原歌劇団の公演「ラ・ボエーム」で演出助手としての第一歩を踏み出しました。この経験から得た知識や技術を基に、1970年にはイタリアに渡り、ローマの聖チェチーリア音楽院を卒業しました。その後、彼は日本人として初めてローマ歌劇場の演出助手となり、国際的な舞台での経験を積むことになりました。

帰国後の1977年からは、藤原歌劇団や二期会を中心に多くのオペラを演出し、昭和音楽大学では助教授として後進の指導にも力を注ぎました。粟國は1979年にジロー・オペラ賞や芸術選奨文部大臣新人賞を受賞し、多くのオペラファンに愛される存在となりました。

主要なオペラ公演

粟國は多彩な演出で知られ、彼の手によるオペラ公演は数多く存在します。1983年から1990年にかけて、民主音楽協会（民音）での公演が特徴的です。たとえば、1983年には『フィガロの結婚』、1985年には『蝶々夫人』、1987年には『チェネレントラ』、1989年には『スペードの女王』、1990年には『椿姫』が上演されました。

特に注目すべきは、1981年9月30日に行われたジョアキーノ・ロッシーニ作『イタリアのトルコ人』の公演が、日本初演であったことです。また、1985年に藤原歌劇団と二期会が合同公演を行ったピエトロ・マスカーニ作『イリス』も、日本初演として記憶されています。この作品の指揮を担当した井上道義は、その後2008年と2011年にも再演しています。

晩年とその影響

晩年の粟國は癌を患っていましたが、家族は彼に病状を知らせませんでした。妻の悠子は、後に自身の体験を山内喜美子に生ける言葉として語り、彼の意志を継ぐ姿勢を示しました。また、オペラ演出家の岩田達宗は、粟國が最期に交わした会話を振り返り、「後をよろしく」という寄せる言葉を覚えています。

さらに、粟國の長男である粟國淳もオペラ演出家として活躍し、彼の足跡を引き継いでいます。このように、粟國の影響は彼自身だけに止まらず、次世代の演出家に引き継がれています。

粟國安彦は、彼の作品を通じてオペラ界に多大な貢献をし、多くの人々に感動を与えた演出家として記憶されています。

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