チェネレントラ

『チェネレントラ』（イタリア語: La Cenerentola）は、作曲家ジョアキーノ・ロッシーニによるオペラ作品で、イタリア語で歌われます。このオペラは童話『シンデレラ』を基にした物語で、台本はヤーコポ・フェッレッティが手掛けています。1817年1月25日、ローマのヴァッレ劇場にて初演されました。

概要

この作品は、ロッシーニが25歳のときに作曲されたもので、『セビリアの理髪師』の翌年にあたります。わずか3週間で作曲されたにもかかわらず、ロッシーニの素晴らしいアリアや重唱が数多く含まれており、オペラ・ブッファ（喜劇）としては特異な作品です。しかし、チェネレントラや王子の真剣なアリアが喜劇を超えた側面も持ち合わせるため、時には「オペラ・セミ・セリア」と分類されることもあります。

初演時は評判が芳しくありませんでしたが、すぐにイタリア国内外で人気を博し、1820年にはロンドンで上演、1826年にはニューヨークでも演じられました。19世紀の間、同じくロッシーニの名作『セビリアの理髪師』と人気を二分しましたが、コロラトゥーラ・コントラルトの歌手が減少すると、次第に上演回数は減りました。しかし、1970年代以降のロッシーニ・ルネッサンスにより、チェチーリア・バルトリなどの才能あるメゾ・ソプラノ歌手が登場し、再び注目を集めることとなりました。現在、コンスタントに録音され、数多くの舞台で上演されるオペラの一つとなっています。

登場人物

- アンジェリーナ（チェネレントラ）：メゾソプラノまたはコントラルト
- ドン・ラミーロ王子：テノール
- ダンディーニ（王子の従者）：バス
- アリドーロ（哲学者、ラミーロ王子の家庭教師）：バス
- ドン・マニフィコ（継父）：バッソ・ブッフォ
- クロリンダ（姉）：ソプラノ
- ティスベ（姉）：メゾ・ソプラノまたはソプラノ
- 合唱（ラミーロ王子の宮殿の家来たち）

楽器編成

- フルート2（ピッコロ持ち替え）
- オーボエ2
- クラリネット2
- ファゴット2
- ホルン2
- トランペット2
- トロンボーン
- ティンパニ
- 弦楽合奏（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）
- 混声合唱
- レシタティーヴォ用にピアノフォルテ
- チェロ
- コントラバス

あらすじ

このオペラでは、童話の『シンデレラ』とは異なり、魔法は登場しません。代わりに、王子の指南役である哲学者アリドーロがチェネレントラを宮殿に導く役割を果たします。物語の中では、ガラスの靴ではなく腕輪が使用され、継母は継父として登場します。また、オペラ・ブッファの特徴である「変装」が物語の中心要素となっています。

第1幕

物語はドン・マニフィコの邸宅から始まります。貧しい服装のアンジェリーナ（チェネレントラ）は、わがままな二人の姉にこき使われています。彼女は「昔あるところに王さまが」という歌を口ずさみます。乞食の姿をしたアリドーロが訪れると、二人の姉は彼を追い払おうとしますが、チェネレントラは彼にパンとコーヒーを恵みます。その後、ラミーロ王子の使者たちが来て、王子が花嫁を探していることを伝え、姉妹を宮殿に招待します。

ここで、継父ドン・マニフィコが登場し、騒ぎに腹を立てます。事件が収束した後、変装したラミーロ王子と出会い、互いに恋に落ちて二重唱を歌います。その後、王子に化けたダンディーニが現れ、ドン・マニフィコはチェネレントラを召使いだと嘘をつき、アリドーロがチェネレントラを宮殿に連れて行くことに。

舞台は宮殿に移り、ドン・マニフィコは酒蔵の管理人に任命されます。ドン・マニフィコは宴の席で楽しい歌を歌い、合唱団も参加し盛り上がります。新たな客が現れると、着飾ったチェネレントラが登場し、その美しさに心を奪われた皆が熱狂します。ロッシーニが特有のクレッシェンドを使った六重唱で幕を閉じます。

第2幕

ドン・マニフィコは王妃の父になる夢を見て滑稽な歌を歌います。一方、チェネレントラとダンディーニが現れ、チェネレントラは真実の愛について告げます。王子は優雅な愛の歌を歌いながらチェネレントラを探しに出かけます。

状況が変わり、再びドン・マニフィコの邸宅に舞台が設定され、チェネレントラは「王様と純情な娘」の歌を歌います。続いて王子とダンディーニが登場し、驚きの出来事が続く中、王子はチェネレントラの腕に腕輪を見つけます。全員が集まる中で、王子はチェネレントラに宮殿へ連れて行くことを告げます。

物語の最後は再び宮殿に舞台が戻り、チェネレントラが継父と姉たちを許し、玉座に座ります。フィナーレでは、チェネレントラが華麗なアリア「Nacqui all'affanno e al pianto」を歌って物語が締めくくられます。このアリアは後にショパンによってフルート伴奏のピアノ曲に編曲されています。

録音及び映像

なお、外部リンクとして『チェネレントラ』の楽譜は国際楽譜ライブラリープロジェクトで入手可能です。

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