粟屋憲太郎

粟屋憲太郎（あわや けんたろう）

日本現代史研究の泰斗

粟屋憲太郎は、1944年6月11日に生まれ、2019年9月11日に逝去した、日本の歴史学者です。立教大学の名誉教授であり、特に日本現代史、とりわけ東京裁判の研究でその名を知られています。その研究は、単に過去の出来事を記述するだけでなく、現代社会にも通じる深い洞察を含んでいます。

学歴と職歴

千葉県出身の粟屋は、東京大学文学部を卒業後、同大学大学院人文科学研究科を修了しました。その後、神戸大学教養部で講師、助教授を歴任し、立教大学文学部教授として教鞭をとりました。その学術的な業績が評価され、立教大学名誉教授、さらには上海交通大学名誉教授の称号も授与されています。同窓には、弁護士の澤藤統一郎がいます。

研究分野

粟屋の研究は、日本現代史全般に及びますが、特に東京裁判の研究は、彼の研究活動の中核をなしています。東京裁判に関する著書や論文は、その複雑な歴史的背景や法的側面を詳細に分析しており、研究者だけでなく一般読者にも広く読まれています。また、昭和史や満州事変、二・二六事件といった日本近現代史における重要な出来事についても深く研究しています。

著書と編著

粟屋は、数多くの著書と編著を執筆しており、その業績は多岐にわたります。単著としては、『昭和の歴史（6）昭和の政党』、『東京裁判論』、『未決の戦争責任』、『十五年戦争期の政治と社会』、『現代史発掘』、『東京裁判への道』などが挙げられます。これらの著書は、彼の緻密な調査と分析に基づき、歴史的事実を多角的に捉えようとする姿勢が表れています。

また、編著としては、『ドキュメント昭和史（2）満州事変と二・二六』、『資料日本現代史（2）敗戦直後の政治と社会』、『中国山西省における日本軍の毒ガス戦』などがあります。これらの編著は、貴重な歴史資料を広く公開し、歴史研究の進展に大きく貢献しました。特に、東京裁判に関する資料の編纂は、その後の研究に不可欠な基盤を提供しました。

さらに、共著や共編著も多数あり、他の研究者との共同作業を通じて、多角的な視点から歴史を考察しようとしています。

歴史研究への貢献

粟屋憲太郎は、歴史研究を通じて、過去の出来事を深く理解し、そこから現代社会の課題を考えることの重要性を訴えました。彼の研究は、単なる歴史的事実の記述に留まらず、歴史から学び、より良い未来を築くための教訓を引き出すことを目指しています。その業績は、日本の歴史学界だけでなく、国際的にも高く評価されており、後世の研究者たちに大きな影響を与えています。

主要な著書リスト（一部）

『昭和の歴史（6）昭和の政党』（小学館, 1983年、同・文庫判、1988年／岩波現代文庫, 2007年）
『東京裁判論』（大月書店, 1989年）
『未決の戦争責任』（柏書房, 1994年）
『十五年戦争期の政治と社会』（大月書店, 1995年）
『現代史発掘』（大月書店, 1996年）
『東京裁判への道』（講談社選書メチエ（上・下）, 2006年／講談社学術文庫（全1巻）, 2013年）

主要な編著リスト（一部）

『ドキュメント昭和史（2）満州事変と二・二六』（平凡社, 1975年）
『資料日本現代史（2）敗戦直後の政治と社会』（大月書店, 1980年）
* 『中国山西省における日本軍の毒ガス戦』（大月書店, 2002年）




粟屋憲太郎の業績は、今後も歴史研究の重要な基盤として、その価値を失うことはないでしょう。

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