粟屋高塚古墳

粟屋高塚古墳について

粟屋高塚古墳（あわやたかつかこふん）は、広島県三次市の粟屋町にある古墳で、その形状は円墳です。史跡としての指定は受けていませんが、地域においては重要な存在です。

古墳の位置と形状

この古墳は、広島県の北部に位置する三次盆地の西側、標高490メートルの高谷山から西に延びる尾根に築造されており、標高466メートルの地点に存在します。ここからは霧の海展望台が近くにあり、風光明媚な景色が広がります。粟屋高塚古墳の直径は約18メートル、高さは約3メートルに達し、円形の形状をしています。

また、墳丘の高い部分には幅約3メートルの周溝が認められ、周囲を取り巻くように築かれていることも特徴的です。

埋葬施設について

この古墳の埋葬施設は横穴式石室であり、東側に開口しています。まるで秘密の扉のように見えるこの入口からは、石室内部へと入ることができます。石室の詳細は以下のとおりです。

• - 玄室：長さ4.85メートル、幅1.95メートル、高さ2.4メートル
• - 羨道：長さ4.5メートル

玄室の壁は少し内側に傾斜しており、内部には平石が2枚残留していることが特徴です。これらの石は棺台や仕切石である可能性があります。羨道の幅は玄室よりも若干狭く、玄室と羨道の間には門柱石が設置されています。この門柱石は、玄室の床面にも敷居のような形で配置されており、羨道部では倒れた石によって封鎖される兆候が見られます。

九州型石室の特徴

門柱石を用いたこの古墳の石室構造は、出雲地方を経由して九州型石室の影響を受けていると指摘されています。この影響は、地域特有の古墳の発展を示す重要な要素であり、粟屋高塚古墳が持つ文化的価値を際立たせています。

発掘調査について

興味深いことに、粟屋高塚古墳に対しては発掘調査が実施されていないため、内部の副葬品などの詳細な情報は明らかではありません。これにより、この古墳の存在は更なる研究の余地を残しています。

文献と研究

本記事の基となった文献には、1991年に発表された『探訪・広島の古墳』と、2004年に発行された『三次市史』があり、これらの資料から考古学的背景を学ぶことが可能です。関連文献として、山崎信二による横穴式石室の地域別比較研究や、三次市内の別の古墳に関する測量調査の報告書があります。

このように、粟屋高塚古墳は古墳時代の重要な文化財であり、その独自の構造や地域性が今後の考古学研究をさらに発展させる手助けとなることでしょう。

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