糟谷憲一

糟谷憲一のプロフィールと業績

糟谷憲一（かすや けんいち）は1949年に生まれた日本の歴史学者であり、一橋大学の名誉教授として知られています。彼は主に朝鮮史を専門とし、その分野において多彩な業績を残しています。糟谷は朝鮮史研究会の会長および歴史科学協議会の代表理事を務め、学問の発展に貢献してきました。

経歴

糟谷は1973年に東京大学の文学部東洋史学専修課程を卒業し、その後1979年には東京大学大学院人文科学研究科の博士課程を単位取得退学しました。卒業後は、財団法人東洋文庫において日本学術振興会の奨励研究員としての活動を開始し、その後同年中に東京大学文学部の助手に就任しました。

1982年には新潟大学の人文学部に助教授として迎えられました。1995年からは一橋大学の社会学部に助教授として勤め、その後1996年には教授に昇進しました。2000年からは一橋大学大学院社会学研究科の歴史社会研究分野にて教鞭を執り、2013年には定年退職を迎えた後も一橋大学の名誉教授、特任教授として活動しています。

専門分野と研究

糟谷の研究分野は17世紀から19世紀にかけての朝鮮の歴史や、日本の統治時代における朝鮮の体制に焦点を当てています。特に日本の植民地支配が朝鮮に与えた影響や、その中での朝鮮社会の変化についての考察が顕著です。彼は朝鮮史研究会の会長や歴史科学協議会の代表理事としても活動し、次世代の研究者を育成するために尽力しています。

指導した学生たちも多数おり、彼のもとで学んだ加藤圭木（現一橋大学准教授）、尹明淑（忠南大学校主任研究員）、愼蒼宇（法政大学教授）、酒井裕美（大阪大学教授）、三ツ井崇（東京大学教授）などはそれぞれの分野で活躍しています。

主要な著作

糟谷は多くの著作を発表し、朝鮮史の研究を広めてきました。1990年には「Asian Studies in Japan, PartII-8」を発表し、1996年には『朝鮮の近代』を筆頭に多くの著作を出版しました。2000年には『朝鮮史〈世界各国史2〉』を共著として発行し、2004年には『日本所在朝鮮戸籍関係資料解題』、2016年には『朝鮮現代史』（並木真人、林雄介と共著）を発表しました。

また、2017年には『朝鮮史1』および『朝鮮史2』を李成市や宮嶋博史と共編し、これらの作品は朝鮮史の学問的理解を深めるための貴重な資料となっています。さらに、翻訳書としてアンドレ・シュミットの『帝国のはざまで―朝鮮近代とナショナリズム』を2007年に名古屋大学出版会から発表し、朝鮮の近代とナショナリズムについての理解を深める一助となりました。

まとめ

糟谷憲一は、日本の朝鮮史研究において重要な役割を果たしてきた学者であり、彼の業績は今後の研究にも大きな影響を与え続けることでしょう。その教育活動を通じて、多くの次世代の研究者が育っていることも、彼の功績の一つです。

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