紀三井寺競馬場

紀三井寺競馬場の歴史と特色

紀三井寺競馬場（きみいでらけいばじょう）は、和歌山県和歌山市にかつて存在した地方競馬の競馬場です。1909年に開設され、その後79年間にわたり多くの競走が行われました。本稿では、競馬場の沿革、特色、主な競走について詳しく解説します。

開場の歴史

紀三井寺競馬場は、明治時代初期にはじまり、1909年（明治42年）に正式に開設されました。当初は地元の有志や団体によって主催され、1927年（昭和2年）から地方競馬規則に基づく開催がスタートしましたが、1939年（昭和14年）に軍馬資源保護法が制定されたことから、不幸にも開催が中止されました。

戦後の再開

1948年（昭和23年）に地方競馬は再び開催されることとなりました。和歌山県や周辺の市町が主催となり、競馬が再スタートしたものの、売り上げは低迷し、時には赤字の開催となることもありました。1959年には廃止の検討もされましたが、売り上げが回復したため、廃止は見送られました。その後、施設の近代化が進みました。

競馬場の末期と廃止

1968年（昭和43年）には競馬法が改正され、主催団体が和歌山県と和歌山市に絞られたことで、開催は順調に進むようになりました。しかし、1980年代に入ると売り上げの低下や競走馬の質の低下が顕著になり、騎手の確保にも課題が生じました。1988年（昭和63年）には県立医科大学の用地として荘重し、廃止に至りました。この年の3月28日、紀三井寺競馬場は79年の歴史に幕を下ろしました。

競馬場の特色

紀三井寺競馬場の特色の一つは、冬季に出走馬や騎手を主に北海道や東北、北陸地方から集めていた点にあります。そのため、競馬開催は冬季に限定されることが多かったのですが、1971年（昭和46年）以降は年間通じて開催され、さらに中央や地方での転厩馬も増えることに繋がりました。特に、他の地方からの転入制限が緩やかだったため、中央での転厩を希望する馬たちも紀三井寺競馬場に出走することが多く見られました。

競馬場のコースと主な競走

紀三井寺競馬場のコースは、1周が1000m、直線は200mで、様々な距離設定が可能でした。主な競走には「葵特別」や「黒潮特別」などがあり、これらは紀三井寺競馬場での最高賞金を誇る重賞競走でした。1988年には、当場で最高額の180万円がかかるレースも開催されました。

所属馬と騎手

紀三井寺競馬場には、多くの優れた競走馬と騎手が在籍しました。代表的な馬には、JRAで名を馳せた「キヤプテンナムラ」や、紀三井寺から中央に移籍した「ヒカリワカヤマ」などがいます。また、騎手では木村隆氏や田邉廣文氏、雑賀正光調教師なども活躍しました。

廃止後の跡地

現在、紀三井寺競馬場があった場所は和歌山県立医科大学および附属病院となっています。この競馬場の歴史は多くの人々に愛され、和歌山地方の競馬文化の一部として伝えられています。

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