紀伊田辺藩

紀伊田辺藩の概要

紀伊田辺藩（きいたなべはん）は、紀伊国を治めた藩であり、安藤家がその藩主を担いました。藩の成立は江戸時代初期にさかのぼり、藩祖である安藤直次が紀伊田辺に3万8千石の所領、並びに田辺城を与えられたことから始まります。安藤家は、代々の当主が「帯刀」という名を名乗っており、これにより安藤帯刀家とも呼ばれています。

藩主は江戸時代を通じて独立した藩としての扱いを受けておらず、江戸城での無席や単独登城の特権がない状態でした。藩主が正式に暦上の藩として認められるようになったのは、明治維新以降のことです。

歴史的背景

紀伊田辺藩の歴史は、浅野氏が紀伊国を支配していた時にさかのぼります。当時、一族の浅野知近がこの地を領有していました。元和5年（1619年）、徳川家康の十男である徳川頼宣が和歌山藩主に封じられる際、安藤直次がその付家老として任命されました。これにより、直次は紀伊田辺における支配権を得ることとなりました。

安藤家の歴代の当主たちは、和歌山藩の執政に関与することが多かったため、多くは和歌山城下に居住していました。その結果、田辺城には直次の従弟である安藤直隆の子孫が城代として務めていましたが、藩主はしばしば田辺を訪れることがありました。

藩内では、安永6年（1777年）6月に米騒動が発生し、天明6年（1786年）12月には米価の高騰により再び騒動が起こりました。また、幕末期には海防が重視され、大砲28門の設置や砲台の築造が行われるなど、藩の安全保障に対する取り組みもなされました。一方で、田辺与力騒動といった内部の騒動も発生しました。

明治維新後

慶応4年（1868年）には、明治政府によって独立藩として正式に認められ、和歌山藩から自立することとなりました。数年前には田辺与力騒動が起こっていました。だが、明治4年（1871年）の廃[[藩置県]]により、紀伊田辺藩は廃藩となり、田辺県を経て和歌山県に編入されました。この段階で、安藤家は万石以上の独立藩主であったにもかかわらず、華族制度の成立時に男爵に叙せられるに留まりました。その処遇は、他の付き家老の家や岩国吉川家と同様のものとなっています。

歴代藩主

紀伊田辺藩の歴代藩主は以下の通りです:

• - 安藤直次（なおつぐ）
• - 安藤直治（なおはる）
• - 安藤義門（よしかど）
• - 安藤直清（なおきよ）
• - 安藤直名（なおな）
• - 安藤陳武（のぶたけ）
• - 安藤陳定（のぶさだ）
• - 安藤雄能（かつよし）
• - 安藤次由（つぐゆき）
• - 安藤寛長（ひろなが）
• - 安藤次猷（つぐのり）
• - 安藤道紀（みちのり）
• - 安藤直與（なおとも）
• - 安藤直則（みちのり）
• - 安藤直馨（なおか）
• - 安藤直裕（なおひろ）
• - 安藤直行（なおゆき）
• - 安藤直裕（16代の再勤）

例えば、藩内の領地は紀伊国にあり、その中でも名草郡の一部、有田郡の一部、日高郡、牟婁郡などが含まれていました。紀伊田辺藩の歴史は、日本の近代史を語る上で重要な位置を占めています。

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