紀州備長炭

紀州備長炭：伝統と品質を誇る和歌山の至宝

紀州備長炭は、備長炭の一種であり、特に和歌山県で生産される高品質なものを指します。その起源は江戸時代の元禄年間、紀伊国田辺（現在の和歌山県田辺市）で備中屋長左衛門が製造を始めたことに遡ります。

製法のこだわり

紀州備長炭の主な原料は、ウバメガシや樫です。これらの木材を使い、高温で蒸し焼きにするのが特徴です。窯の外で素灰と呼ばれる灰をかけて消火することで、炭の目が細かくなり、硬く締まった良質な炭が生まれます。

特徴

一般的に備長炭は火力が強いと認識されていますが、実際には黒炭よりも低温で長時間燃焼するのが特徴です。また、煙が出にくく、食材に雑味が移らないため、炭火焼料理店（鰻屋、焼き鳥屋など）で広く利用されています。

ブランドの確立

本来、樫を原料とした白炭のみが備長炭と呼べるものでしたが、製法が広まるにつれて白炭全体を指すようになりました。そのため、和歌山県では紀州備長炭としてブランド化を図り、品質と伝統を維持しています。

1974年（昭和49年）には、紀州備長炭製炭技術が和歌山県無形民俗文化財に指定されました。さらに、2006年には地域団体商標制度の認定第一弾として地域ブランドに認定されています。2008年の和歌山県における生産量は約1,700トンでした。かつては旧南部川村（現在の日高川町）が生産量日本一を誇っていました。

航空輸送の特例

通常、木炭は危険物として航空機への持ち込みが禁止されていますが、和歌山県木炭協会が発行する「紀州備長炭証」が貼られた製品は特例として、日本航空（JAL）の国内線で航空輸送が可能です。他の航空会社については個別の確認が必要です。

紀州備長炭に触れる

紀州備長炭についてより深く知りたい場合は、以下の施設を訪れるのも良いでしょう。

紀州備長炭振興館
道の駅紀州備長炭記念公園
みなべがわむら紀州備長炭博物館

関連項目

備長炭
* 吸着

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