紀州東照宮

紀州東照宮について

紀州東照宮（きしゅうとうしょうぐう）は、和歌山県和歌山市の和歌浦に位置する神社です。浮かぶ島々や美しい海を見渡せるこの場所は、初代将軍徳川家康を祀る神社として、また紀州藩初代藩主の徳川頼宣に対しても敬意を表するために建てられました。

立地と景観

この神社は雑賀山の中腹にあるため、美しい自然に囲まれた環境が特徴です。境内からは和歌浦湾の風景が広がり、右手には片男波の砂嘴、左手には北岸の景観が望めるため、まさに自然と歴史が融合したスポットといえるでしょう。西側には和歌浦天満宮、東側には玉津島神社があります。

歴史

東照宮の創建は、元和5年（1619年）にさかのぼります。この年、紀州藩主となった徳川頼宣が、東照大権現を祀るために社の建立を計画し、元和7年（1621年）にはその社殿が完成しました。社殿の豪華さは特筆すべきものであり、特に左甚五郎による彫刻や狩野探幽の壁画が装飾されています。このため、紀州東照宮は「関西の日光」とも称されました。神社の境内は方八町あり、宮山の周辺は50町以上に及ぶといいます。

天台宗の天曜寺もこの地に建立されましたが、明治時代の神仏分離政策により、廃寺となりました。それでも、東照宮は県社として昇格し、その後も重要な祭りは続けられています。元和8年から始まった例祭は、江戸時代には国中一の大祭として多くの観客を引き寄せました。明治以降も「和歌祭」として親しまれ、毎年多くの人々が訪れています。

祭神と文化財

東照宮の祭神としては、徳川家康（東照大権現）と、徳川頼宣（南龍大神）が合祀されており、二人を尊ぶ信仰がこの地に根付いています。

境内には重要文化財が多く存在し、特に本殿、拝殿、石の間、唐門、楼門、回廊など、歴史的な建造物が魅力を発しています。これらは全て元和7年（1621年）に建立され、伝統的な和様の建築様式を用い、豊かな装飾とともに人々を魅了しています。豪華な社殿は複雑な組物や彫刻が施され、特に美術工芸品にも大きな価値があります。

文化財の保護と祭り

紀州東照宮は、国指定の史跡・名勝でもあり、境内は魅力的なスポットとして観光地としても知られています。また、その重要文化財は和歌山県立博物館に寄託され、未来の世代へ文化的遺産を伝える役目を果たしています。

毎年5月の第2日曜日には「大祭」が行われ、多くの参拝者で賑わいます。神社の周囲には和歌浦、雑賀崎、紀三井寺などもあり、訪れる人々にとって豊かな歴史と自然が楽しめる場所となっています。

紀州東照宮はその神聖さと美しさから、訪問者を魅了し続ける歴史的な場所です。

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