約束 (ジェロのアルバム)

ジェロの音楽キャリアにおける記念碑的な作品として位置づけられる初のオリジナル・アルバム『約束』。

このアルバムタイトルには、彼が演歌歌手として成功するという、祖母との間に交わした大切な誓いが込められています。その名の通り、ジェロにとっての演歌、そして音楽活動の根幹を示す重要なキーワードとなっています。

本作には、社会現象を巻き起こした彼のデビュー曲「海雪」をはじめ、日本の音楽シーンを代表する多才なクリエイターたちが楽曲を提供しています。作詞家としては、一青窈、阿木燿子、秋元康、山川啓介、中村中、蟹江ハルキといった個性の異なる面々が参加。

作曲家陣も非常に豪華で、宇崎竜童、都倉俊一、横山剣（クレイジーケンバンド）、春畑道哉（TUBE）、つんく♂、山本健太郎といった、ロック、ポップス、歌謡曲など、幅広いジャンルで活躍する音楽家たちが集結。これにより、ジェロの持つ独特の歌声と表現力を引き出す、バラエティ豊かで奥行きのある楽曲群が生まれました。

全10曲が収録されたこのアルバムの中でも、「流浪の街」は特に注目すべき楽曲の一つです。この曲は、ジェロ自身が出演した映画『鈍獣』の挿入歌として起用され、映画の世界観と相まって多くのリスナーに深い印象を与えました。

また、彼のキャリアをスタートさせた「海雪」が収録されている点も重要です。改めてこの楽曲をアルバムの中で聴くことで、ジェロがどのようにして世に出たのか、その原点を振り返ることができます。他にも、情景豊かな歌詞が心に響く「えいさ」、都会の孤独を描いた「東京漂流」、異国情緒漂う「アルゼンチン逃避行」、人生の厳しさを歌う「試練」、明るい未来を願う「晴れ舞台」、男女の切ない関係を綴った「キョーコとタカシ」、華やかな都市をテーマにした「大阪ジュエル」、そして懐かしさを感じさせる「菜の花畑でつかまえて」など、それぞれの楽曲が独自の魅力を放っています。

これらの楽曲は、鈴木豪、多田三洋、阿部靖広、上野圭一といった実力派の編曲家たちによって、それぞれの持ち味を最大限に引き出すアレンジが施されています。緻密に構築されたサウンドが、ジェロの歌声と相まって、聴く者を惹きつけます。

アルバム『約束』は、ジェロというアーティストが持つ多面性と、演歌というジャンルにとどまらない音楽への挑戦を示す一枚と言えるでしょう。日本のトップクリエイターたちの才能と、ジェロの温かく力強い歌声が見事に融合した本作は、彼のキャリアにおいて欠かせない重要な作品であり、多くの音楽ファンに聴いてほしいアルバムです。

収録曲は以下の通りです。

1. えいさ
作詞：一青窈 / 作曲：山本健太郎 / 編曲：鈴木豪
2. 東京漂流
作詞：阿木燿子 / 作曲：宇崎竜童 / 編曲：多田三洋
3. アルゼンチン逃避行
作詞：秋元康 / 作曲：横山剣 / 編曲：鈴木豪
4. 試練
作詞：山上路夫 / 作曲：春畑道哉 / 編曲：鈴木豪
5. 晴れ舞台
作詞：中村中 / 作曲：中村中 / 編曲：鈴木豪
6. キョーコとタカシ
作詞：秋元康 / 作曲：宇崎竜童 / 編曲：多田三洋
7. 流浪の街
作詞：蟹江ハルキ / 作曲：山本健太郎 / 編曲：阿部靖広
8. 大阪ジュエル
作詞：蟹江ハルキ / 作曲：つんく♂ / 編曲：上野圭一
9. 菜の花畑でつかまえて
作詞：山川啓介 / 作曲：都倉俊一 / 編曲：鈴木豪
10. 海雪
作詞：秋元康 / 作曲：宇崎竜童 / 編曲：多田三洋

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