約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

『約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語』

2009年に公開されたこの作品は、フランスとニュージーランドが共同で製作した歴史ファンタジー映画です。原題は英語で『A Heavenly Vintage』、フランス語では『The Vintner's Luck』と呼ばれ、エリザベス・ノックスによる同名小説を原作としています。監督を務めたのは、ニュージーランド出身のニキ・カーロです。

物語の舞台は19世紀初頭、具体的には1808年から始まるフランスのブルゴーニュ地方です。フランス革命前夜という激動の時代設定の中で、ワイン造りに情熱を傾ける一人の男性の人生が描かれます。この映画は英語で製作されており、主演を務めたベルギー出身の俳優ジェレミー・レニエにとっては、初めての英語での主演作となりました。日本での配給は2010年に東北新社が行いました。

あらすじ

物語の中心人物は、ワイン醸造家のソブランです。彼は自身の畑を持ち、まだ誰も味わったことのない最高のワインを生み出すことを夢見ていました。ある時、彼は天使ザスから奇妙なお告げを受けます。それは、通常はブドウ栽培には不向きとされる尾根の土地にブドウの木を植えるというものでした。ソブランは半信半疑ながらもこの啓示に従い、並々ならぬ努力と汗、そして自身の情熱をその土地に注ぎ込みます。

困難が伴う挑戦でしたが、彼は不可能と言われた尾根でのブドウ栽培を成功させ、ついに理想のワインを醸造することに成功します。試飲会でその品質が認められ、大きなチャンスを手にしたソブランは有頂天になります。しかし、その絶頂期に、再び現れた天使から「それは違う」と否定的な言葉を告げられてしまいます。

その後、ブドウの木は病気にかかり、ソブランは全てを失うという絶望的な状況に追い込まれます。この挫折を通して、彼は改めてワイン造りとは何か、自身の夢とは何かについて深く自問することになります。

物語は、ソブランが天使と交わした奇妙な「約束」と、彼のワイン造りへの執着、そして愛する人々との関係を通して、人間の情熱、希望、そして苦悩を描き出します。作品の背景には、19世紀フランスでブドウ畑に甚大な被害をもたらした害虫フィロキセラの流行も示唆されており、ワイン造りの厳しさと儚さをもリアルに映し出しています。

主要キャスト

ソブラン・ジョドー - ジェレミー・レニエ
天使ザス - ギャスパー・ウリエル
妻セレスト - ケイシャ・キャッスル＝ヒューズ
オーロラ・ド・ヴァルデー男爵婦人（伯爵の姪） - ヴェラ・ファーミガ
ヴリー伯爵 - パトリス・ヴァロタ
レジー神父 - エリック・ゴードン

この映画は、美しいブルゴーニュの風景と、ワイン造りというテーマにファンタジーの要素を織り交ぜた独特の世界観を持っています。ワインに魅せられた一人の男の波乱に満ちた人生を通して、夢を追いかけることの光と影を描いた作品と言えるでしょう。

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