紅孩児

紅孩児（こうがいじ）

紅孩児は、古典文学『西遊記』に描かれた神仙で、牛魔王と羅刹女の実の子供です。物語の第40回から第43回に彼の登場があり、物語の中では聖嬰大王とも呼ばれています。中国の伝統文化において、このキャラクターは子供の姿で描かれることが多く、時には「嬰児」としても言及されています。彼は後に、観世音菩薩の弟子である善財童子になると言われています。また、彼は通天河や滅法国の逸話にも絡んでおり、物語の重要な要素を担っています。

紅孩児は六百里鑽頭号山という山の枯松澗火雲洞を根城にしている妖怪であり、彼の身長はおおよそ1丈8尺（約6メートル）にも達します。特に目を引くのは、彼が扱う火炎槍であり、その槍はその威力を誇示しています。300年にわたって火炎山で修行し、神秘的な技術、三昧真火を習得しました。この技は呪文を唱えることで、目、鼻、口から水では消せない火や煙を発生させることができます。

物語の中で、紅孩児は三蔵法師一行を狙います。彼はまず、自ら木に吊るされて助けを求めるという詐欺行為を行い、彼らに同情を引こうとします。しかし、彼の真の姿を見抜いた孫悟空は、彼を無視しようとします。しかし、三蔵は彼を助けるよう命じ、その結果、紅孩児は三蔵をさらって逃げます。

その後、孫悟空は土地神から妖怪の正体を聞き出し、家族の関係に気付くと、猪八戒と共に火雲洞に向かいます。紅孩児は五行を象徴する5台の火車を率いて現れますが、彼らは三昧真火に阻まれてしまいます。悟空は、水を使って火を消そうとしますが、火と水の温度差で仮死状態になってしまいます。八戒の助けで息を吹き返すも、今度は牛魔王に変装して挑みますが、紅孩児の疑いに遭い、失敗します。

悟空は観世音菩薩に助けを求め、次の戦いの前に「わざと負けて彼を誘い出すように」と指示を受けます。紅孩児との戦いの後、彼は観音を追いかけて補陀落山に向かいますが、そこで待っていた罠にかかり、両腿に刃を受けて動けなくなってしまいます。最終的には観音によって取り押さえられ、改心し仏門に入ることになりますが、この出来事は後に牛魔王との争いの引き金ともなります。

日本での扱い

日本においては、紅孩児は『西遊記』を原作とした多くのアダプテーションであまり知られていません。日本テレビのドラマ版では、彼は子供として描かれ、悟空らと戦いますが、フジテレビ版では独立した妖怪として扱われるなど、原作の設定がしばしば変更されます。

また、アニメや漫画でも様々な解釈がなされています。たとえば、アニメ『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』ではスパイとして登場し、その後改心して玄奘に引き取られる設定がなされています。さらに、様々な作品で彼のキャラクターは変化しながら描かれており、様々なエピソードが展開されています。こうした多様性は、紅孩児のキャラクターが持つ魅力の一端であると言えるでしょう。

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