紫 (バンド)

紫 (Murasaki): 沖縄が生んだ伝説のハードロックバンド

紫は、1970年代に沖縄で結成されたハードロックバンド。米軍基地周辺の歓楽街で演奏活動を始め、その圧倒的な演奏力と独特の音楽性で、沖縄だけでなく日本全国のロックファンを魅了しました。彼らは、日本のハードロックシーンの草分け的存在として、後進のバンドに多大な影響を与えました。

バンドの歴史

紫の前身は、城間俊雄・正男兄弟が結成した「ピーナッツ」というバンドでした。1960年代後半、沖縄の米軍基地周辺のクラブで、ドアーズやヴァニラ・ファッジなどのカバー曲を演奏していました。その後、ジョージ紫（比嘉常治）が加入し、「ジョージ紫グループ」と改名。ディープ・パープルの影響を受けたジョージ紫の加入は、バンドの音楽性を大きく変えることになります。

1970年、下地行男が加入したのを機に、バンド名を「紫」としました。オリジナルメンバーは、ジョージ紫、城間俊雄、城間正男、下地の4人。1970年代前半には、「万座ビーチ・ロック・コンサート」に出演するなど、精力的に活動を行いました。

1975年、宮永英一が再加入し、比嘉清正が加入。ジョージ紫(key)、宮永(dr,vo)、城間正男(vo)、城間俊雄(b)、比嘉(g)、下地(g)の6人編成が確立し、1978年まで続きました。同年、大阪の「8・8ロックデー」にゲスト出演し、本土での初演奏を果たしました。

1976年には、ファーストアルバム『MURASAKI』をリリース。続いて、邦楽初の12インチ・シングル『FREE』、アルバム『IMPACT』を発表し、いずれもヒットを記録しました。1977年には、「ミュージックライフ」誌の人気投票で国内部門グループ第1位を獲得するなど、人気絶頂期を迎えます。

しかし、1978年、ジョージ紫、宮永、比嘉の3人が突然脱退を発表。音楽性の不一致と停滞が理由とされています。同年9月22日には、那覇市民会館でラストコンサートを行いました。

その後、城間兄弟と下地は新しいメンバーを迎え、「紫」として活動を継続しましたが、1981年に解散しました。

解散後の活動と再結成

解散後、メンバーはそれぞれ個別の音楽活動を行いました。ジョージ紫は「MARINER」を結成し、宮永は「コンディション・グリーン」や「SAN-DIEGO」に参加しました。比嘉はライブハウス「COCONUT MOON」を経営し、下地は音楽活動から離れました。

1983年、恩納村で開催された「ピースフルラブ・ロックフェスティバル」で一時的に再結成。その後も、沖縄復帰20周年記念イベントやイアン・ギランのライブの前座などで再結成を果たしました。

1997年には、交通事故で亡くなった音響スタッフの追悼と交通遺児チャリティーを目的とした再結成コンサートを宜野湾市で開催。下地もギタリストとして復帰しました。

1999年、宮永とジョージ紫を中心に「NEW紫」を結成。ジョージ紫の息子たちもメンバーに加わり、活動を再開しました。2010年には、34年ぶりのニューアルバム『Purplessence』をリリースしました。

2011年には、初代ベーシストの城間俊雄が死去。2015年には、城間正男がISLANDのヴォーカリストとして紫のステージに17年ぶりに立ちました。

不祥事

2002年、元メンバーの城間正男が強姦事件で逮捕され、その後も窃盗などで逮捕されるという不祥事がありました。

現在の紫

紫は、メンバーチェンジを重ねながらも、現在も活動を続けています。沖縄のロックシーンを代表するバンドとして、その音楽は今も多くのファンに愛されています。

彼らの音楽は、沖縄の文化とアメリカのロックが融合した独特のサウンドで、日本のロックシーンに大きな足跡を残しました。紫は、まさに沖縄が生んだ伝説のハードロックバンドと言えるでしょう。

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