細川長平

細川長平は、1884年（明治17年）5月13日に香川県で生まれ、1967年（昭和42年）1月13日に生涯を閉じました。彼は内務・警察官僚として、また官選の県知事として、日本の近代史において重要な役割を果たしました。

細川は細川林造の三男としてこの世に生を受けました。彼は第五高等学校を卒業後、1909年に東京帝国大学法科大学を卒業しました。同年11月には、文官高等試験行政科試験に合格し、内務省に入省。京都府属を最初の任地として官僚としてのキャリアをスタートさせました。

その後、細川は岐阜県事務官、同理事官、徳島県警察部長、熊本県警察部長といった要職を歴任し、警察行政に深く関わりました。さらに、長野県書記官・内務部長、宮城県書記官・内務部長、北海道庁部長・内務部長など、地方行政の中枢を担うポストを歴任しました。

1928年12月、細川は沖縄県知事に就任しました。彼の沖縄県知事としての在任期間中に特筆すべき出来事として、1929年2月、沖縄の社会科学研究会の関係者を検挙したことが挙げられます。この事件は、当時の社会情勢と官憲の動向を示す重要な事例として記録されています。しかし、細川は同年7月に埼玉県知事に転任となり、沖縄での知事としての活動は短い期間で幕を閉じました。

埼玉県知事としての任期を経て、1930年8月26日、細川は依願免本官となり、官界を退きました。彼の退官は、当時の官僚制度の変化や、彼自身のキャリアにおける転換点を示唆するものとして解釈できます。

細川長平の経歴は、明治から昭和初期にかけての日本の官僚制度、地方行政、そして警察行政の実態を理解する上で貴重な資料を提供してくれます。彼の足跡は、内務官僚としてのキャリア、そして県知事としての活動を通して、日本の近代史に深く刻まれています。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
* 沖縄大百科事典刊行事務局編『沖縄大百科事典』沖縄タイムス社9、1983年。

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