細網内皮系

細網内皮系（Reticuloendothelial System: RES）とは

細網内皮系（RES）は、生体防御機構において中心的な役割を担う細胞群の総称です。このシステムは、間葉系の組織に由来する細胞で構成され、主に異物を貪食することによって生体を守る働きをします。

細網内皮系を構成する細胞

RESは、特定の臓器や組織に偏在する多様な細胞を含みます。以下に主な構成細胞とその分布を示します。

脾臓: 脾洞内皮細胞や脾索の細網細胞
リンパ組織: リンパ洞の細網細胞や内皮細胞
肝臓: クッパー細胞
骨髄: 毛細血管内皮細胞
血液: 単球
組織: 組織球
肺: 肺胞の塵埃細胞
脳: 小膠細胞（ミクログリア）

これらの細胞は、それぞれ異なる場所に存在しながらも、共通して異物を認識し、貪食する能力を持っています。

細網内皮系の機能

細網内皮系の主要な機能は、以下の通りです。

1. 異物の貪食と除去: 細菌、ウイルス、死細胞、異物粒子などを貪食し、体内から除去します。これにより、感染症の防御や組織の恒常性維持に貢献します。
2. 免疫応答への関与: 貪食した異物の情報をリンパ球などの免疫細胞に伝え、免疫応答を活性化します。抗原提示細胞としての役割も担います。
3. 組織修復: 損傷した組織の残骸を貪食し、組織修復を促進します。
4. 血液細胞の代謝: 老化した赤血球などの血液細胞を破壊し、鉄などのリサイクルに関与します。

細網内皮系と単核貪食細胞系

細網内皮系は、単核貪食細胞系（Mononuclear Phagocyte System: MPS）と密接な関係があります。MPSは、単球、組織球、マクロファージなど、単核の貪食細胞を指すより広い概念です。RESは、MPSの機能を担う細胞群のうち、特定の組織に局在するものを指すと考えられます。

細網内皮系の臨床的意義

RESの機能不全は、様々な疾患の発症や進行に関与します。例えば、感染症、自己免疫疾患、腫瘍の転移などにおいて、RESの機能異常が見られることがあります。RESの機能低下は、易感染性の亢進や炎症反応の遷延化を引き起こす可能性があります。

まとめ

細網内皮系は、生体の防御機構において不可欠な細胞群であり、多様な細胞が協力して異物の除去や免疫応答に関与しています。RESの機能は、健康な状態の維持に重要であり、その異常は様々な疾患の原因となり得ます。



参考文献

* 日本獣医病理学会編集『動物病理学総論 第2版』文永堂出版、2001年、ISBN 4830031832。

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