紹興の和議

紹興の和議：金と南宋の和平条約とその影響

紹興の和議（しょうこうのわぎ）は、または皇統の和議（こうとうのわぎ）は、12世紀に中国を二分した金と南宋の間の長きにわたる対立に終止符を打った条約です。1142年（南宋の紹興12年/金の皇統2年）に締結され、両国の国境線や関係性を大きく変えることとなりました。

条約の背景

金の勢力拡大により、北宋は滅亡し、その遺臣たちが南に逃れて南宋を建国しました。金は南宋を討伐しようとしましたが、岳飛などの武将の活躍により、南宋は辛うじて独立を保っていました。しかし、金の圧力は依然として強く、和平交渉が模索されるようになります。

条約の内容

紹興の和議は、南宋にとって非常に不利な内容でした。主な内容は以下の通りです。

国境線の確定: 淮河を国境とし、南宋は淮河以北の旧領（開封を含む）を放棄する。
臣従関係: 南宋は金の臣下となり、皇帝は金から冊封を受ける。
歳貢の納入: 南宋は毎年、銀25万両と絹25万疋を金に歳貢として献上する。
主戦派の粛清: 宰相の秦檜は主戦派を抑え、岳飛を死罪に処し、韓世忠を免職とした。

この条約により、南宋は事実上、金の朝貢国という立場に引き下げられました。南宋の皇帝は金の臣下として扱われ、多額の歳貢を納めることを強いられました。また、岳飛のような愛国的な武将が排除されたことは、南宋の国力を大きく削ぐこととなりました。

条約の影響

紹興の和議は、南宋社会に大きな影響を与えました。和平を重視する秦檜を中心とする勢力が台頭し、主戦派は弾圧されました。これにより、南宋の軍事力は低下し、金の侵攻に対する防衛力が弱まりました。また、多額の歳貢は南宋の財政を圧迫し、民衆の生活を苦しめました。

しかし、紹興の和議によって、南宋は一時的に平和を保つことができました。経済や文化は発展し、独自の文化を築き上げました。また、紹興の和議に対する批判的な意見も根強く、後に主戦論が再び高まることとなります。

条約のその後

紹興の和議による関係は1164年まで続きました。その後、隆興の和議が結ばれ、両国の君臣関係は解消され、叔父（金）と甥（宋）の関係に改められました。歳貢は歳幣と改称され、金額も銀20万両・絹20万疋に減額されました。しかし、両国の対立はその後も続き、最終的に金はモンゴル帝国によって滅ぼされ、南宋も元によって滅ぼされることとなります。

紹興の和議は、南宋の歴史において重要な転換点となりました。和平と引き換えに多くのものを失った南宋でしたが、その後の文化的な発展や抵抗の精神は、後の時代に大きな影響を与えました。

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