終りなき戦い

『終りなき戦い』

『終りなき戦い』（おわりなきたたかい、The Forever War）は、著者ジョー・ホールドマンによるSF小説で、ベトナム戦争の従軍体験が反映されています。異星人との壮大な戦争とそれによって変化し続ける社会の様子を描写しており、時を超えた壮絶な戦場の物語が展開されます。この小説は、SF戦争小説の傑作としてしばしば『宇宙の戦士』と並べられるほど評価されています。

この作品は1972年から『アナログ』誌に連載されており、最初は連作短編形式でしたが、1974年に全編が長編としてまとめられ出版されました。翌1975年にはネビュラ賞、1976年にはヒューゴー賞とローカス賞を受賞し、SF文学の金字塔となりました。 さらに1997年には、関連するテーマを持ちながら独立した物語『終わりなき平和』（Forever Peace）が発表され、1999年にはその続編として『終わりなき自由』（Forever Free）が登場しています。

あらすじ

物語の冒頭、人類は超光速航法「コラプサー・ジャンプ」を発見し、宇宙探索の活動を拡大しています。しかし、運命は一変します。移民船が謎の異星人によって攻撃され、「トーラン」と名付けられた彼らとの戦争が引き起こされます。最初に接触した恒星系が「おうし座Taurus」であったため、この異星人は「トーラン」と呼ばれました。

主人公のウィリアム・マンデラは、エリート徴兵制度により選ばれて兵士となり、過酷な訓練の後、トーランとの戦闘に赴きます。戦闘から戻るたびに、時の流れによって数十年が経過し、家族や知人は次々に過去の人となります。さらに、地球の社会や文化も大きく変化していきます。彼は戦友であり恋人でもあるメアリイゲイと別れを経験し、孤独な戦士として生き残ります。

マンデラは、世代間の変化や「ジェネレーションギャップ」に苦しみながら、トーランとの戦いを続けることになります。気づけば彼は少佐として部隊を指揮する立場に達し、戦いは数世代にわたったのです。この壮絶な戦いの中で、彼は何を守り、何を失ったのかを問い続けます。

映画化

本作は2008年10月以降、映画化される可能性が示され、著名な映画監督リドリー・スコットが関与することが発表されました。アカデミー賞を受賞した脚本家が選ばれ、2009年には具体的な映画化の発表が行われました。映画はジェームズ・キャメロンの『アバター』のように3D形式で制作される予定で、特に新たな視覚体験が期待されています。2015年5月には、チャニング・テイタムの出演が報じられ、製作が進行中であることが示唆されています。

日本語訳

『終りなき戦い』の日本語訳は風見潤によって行われ、初版は1978年に早川書房から出版されました。以降、1985年にはハヤカワ文庫としても販売され、多くの日本の読者に親しまれています。この作品は、戦争と人間の本質的な部分を問う深い考察を提供しており、SF小説としても一層の魅力を放っています。

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