終わりのクロニクル

終わりのクロニクル：概要とあらすじ

『終わりのクロニクル』は、川上稔によるライトノベル作品で、イラストはさとやす（TENKY）が担当しています。電撃文庫より2003年6月から2005年12月にかけて刊行され、高い人気を誇り、複数のライトノベルランキングで上位にランクインしました。2008年7月時点での累計発行部数は130万部を突破しています。

この作品は、作者が創造した架空世界「都市世界」の「AHEAD」時代を描いており、「AHEADシリーズ」として位置づけられています。第二次世界大戦の裏側で、平行して存在する11の世界「ギア(G)」が、世界の根源を司る「概念」を巡って争いを繰り広げた「概念戦争」を背景に物語は展開します。

あらすじ

概念戦争を制した最低位の世界「Low-G」では、60年もの間、戦争の記憶は隠蔽されていました。しかし、Low-Gが持つ「マイナス概念」の活性化により、再び滅亡の危機が訪れます。危機を回避するためには、かつて滅ぼした10のGの「概念」の力が必要となります。

そこで、概念戦争を戦い抜いた組織「UCAT」は、各異世界の生き残りとの交渉を行う「全竜交渉部隊（チームレヴァイアサン）」を編成します。主人公佐山・御言は、祖父である佐山・薫から交渉役の役割と権利を継承し、「自分が本気になるため」に、この困難な任務に挑みます。「佐山の姓は悪役を任ずる」という言葉を胸に、世界を救うための交渉、全竜交渉（レヴァイアサンロード）が始まります。

ギアと概念戦争の詳細

Low-GとTop-Gを中心として、一定周期で旋回する10の異世界が「ギア（G）」です。各Gは独自の物理法則（概念）と文化・技術を持ち、Low-Gに影響を与えてきました。Low-Gにおける神話はその原型とされています。

1999年12月25日、全Gの周期が重なり、最も多くの概念を持つG以外が滅亡する事が判明。これにより、G同士が概念核を奪い合う「概念戦争」が勃発しました。以下、各Gの主要概念、対応神話、対応地域（世界／日本）を簡単にまとめます。

1st-G: 文字が力を持つ概念（ニーベルンゲンの災い／近畿地方）
2nd-G: 名前が力を持つ概念（日本神話／伊豆七島）
3rd-G: 金属が生命を持つ概念、小規模重力制御（ギリシャ神話／瀬戸内海）
4th-G: 植物が動物化する概念（アフリカ神話／九州）
5th-G: 落下方向を任意で決定する概念（ネイティブアメリカンの神話／北海道）
6th-G: 輪廻転生の概念（インド神話／静岡）
7th-G: 不明（肉体改造に長ける）（中国神話／東北）
8th-G: 熱量が生物化する概念（アボリジニ神話／四国）
9th-G: 光と闇、熱と停止の概念（ゾロアスター神話／紀伊半島）
10th-G: 不明（神の力、加護など）（北欧神話／近畿地方周辺）

Low-Gは矛盾を許容する概念を持ち、概念戦争を勝利しましたが、マイナス概念の活性化により滅亡の危機に瀕しています。Top-GはLow-Gと対極的な世界で、全プラス概念を持ちますが、概念戦争には関与せず、後に旧日本UCATによって滅ぼされました。

概念、自弦振動、存在率／崩壊率

概念は、あらゆる事象の根本的な原因となるものです。物理法則のようなものと考えられます。

自弦振動は概念の力を示す震動波で、母体自弦振動（所属するGを示す）と子体自弦振動（個性を示す）があります。

存在率／崩壊率は、自弦振動の損傷度合いを表し、存在率が50%を下回ると崩壊します。これはGにも適用され、概念核の半分以上が失われるとGは崩壊します。

概念核は大規模な概念の塊で、Gそのものと言える存在です。概念戦争後、各Gの概念核は竜や武器に封じられています。Low-Gは各Gから奪った概念核を劣化複製して使用しています。

マイナス概念はLow-Gの中核概念で、あらゆるものを害する力です。

概念空間は概念を付加して生み出される擬似的な異世界です。

概念条文は概念空間に入った生物の脳裏に聞こえる概念の効果内容です。

概念兵器は概念を内蔵した武器の総称です。機竜、武神、自動人形なども含まれます。

主要な概念兵器、機竜、武神、自動人形

この作品には、様々な概念兵器、機竜、武神、自動人形が登場します。それぞれの詳細な説明は非常に長くなるため、ここでは省略しますが、それぞれが独特の能力と個性を持っており、物語を盛り上げています。特に、機殻剣、機殻槍、機殻杖、機殻鉄槌、機殻弓、機殻銃といった概念兵器は、各Gの概念を反映した多様な機能を持ちます。

機竜は概念戦争時代最強の戦闘力を誇り、武神は3rd-Gを象徴する巨大な人型機械です。自動人形は3rd-Gで開発されたアンドロイドで、多くの種類が存在し、物語の中で重要な役割を果たしています。

主要登場人物

主人公佐山・御言をはじめ、個性豊かな登場人物たちが物語を彩ります。各登場人物の詳細な説明は非常に長くなるため、ここでは省略しますが、それぞれが複雑な過去や人間関係を持ち、物語に奥行きを与えています。

まとめ

『終わりのクロニクル』は、緻密な世界観、魅力的なキャラクター、そして壮大な物語展開が魅力のライトノベルです。概念戦争という独特の設定と、各Gの個性的な文化、技術、そして登場人物たちのドラマが複雑に絡み合い、読者を惹きつけてやみません。興味を持たれた方は、ぜひ本書を手にとって、その世界観に浸ってみてください。

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