組織票

組織票とは

組織票は、特定の団体がそのメンバーに投票を呼びかけ、特定の候補者や政党に集中させるための票を指します。このプロセスは、政治の場面だけでなく、スポーツや音楽の分野でも見られます。

政治分野における組織票

政治において、組織票は利益団体や特定の団体が候補者を推薦し、その候補者にメンバーが集団で投票する行為です。例えば、自衛隊や警察などの公務員、業界団体、労働組合などが該当します。彼らの支持を受けた候補者は「組織内候補者」として知られ、この場合、組織票が得られます。こうした票は、団体の結束が強固であるため、特定の候補者の支持が安定しており、棄権者も相対的に少なくなる傾向があります。

選挙では、投票率が低い場合、組織力の強い政党や候補者に有利に働くとされています。大規模な団体では、候補者を持ち、その支持を展開することもあり、この現象は「コーポラティズム」といった形態の一部とも見なされます。しかし時には、これは問題視され、汚職や縁故主義の温床となることも批判されています。

さらに、選挙の解析では、組織票を浮動票と対比して取り扱うこともありますが、厳密には浮動票は「固定票」の対義語であり、特定の候補者に対して常に投票される票（固定票）と、その状況に応じて投票先が変わる票（浮動票）とを区別することが重要です。

政治以外の分野での組織票

組織票という概念は、政治だけでなく他の領域にも適用されます。例えば、プロ野球のオールスター戦では、特定のチームのファンやその関係者が、選手の実力に関係なく、意図的に選手に投票することがあります。1978年には、日本ハムファイターズがファンに自軍選手への投票を呼びかけ、その結果、多くの日本ハム選手が選ばれるという事態が発生しました。この際、一部の選手は辞退することとなり、議論を生みました。

また、2003年には、故障のためにプレーしていなかった中日ドラゴンズの川崎憲次郎がファン投票で選ばれるべくインターネット上で組織的な投票活動が行われました。結果的に彼は選ばれましたが、選出を辞退しました。

音楽業界においても、組織票は重要な役割を果たします。アーティストの楽曲をランキング上位に押し上げるために、ファンが組織的にリクエストを行ったり、大量にCDを購入する動きが見られます。レコード会社や芸能事務所は、この活動を促進するために費用を負担したり、特典付きの販売を行うこともあります。例えば、2005年には、アニメファンが自発的に「ハッピー☆マテリアル」をオリコンランキング1位にしようとする運動が展開されました。

結論

このように、組織票は政治やスポーツ、音楽など多岐にわたり影響を及ぼす重要な要素です。その存在を理解することで、各分野における投票のダイナミクスやその背景にある社会的なメカニズムを把握することができるのです。

もう一度検索