脇村義太郎

脇村義太郎（わきむら よしたろう）

概要

脇村義太郎（1900年12月6日 - 1997年4月17日）は、日本の著名な経済学者で、主に経営史を専門としました。その業績は多岐にわたり、1964年からは日本学士院会員として活動し、1988年から1994年にかけて第20代院長を務めるなど、学界においても重要な役割を果たしました。1992年には文化功労者として認められ、また東京大学の名誉教授を務めたいくつかの重要な役職を担ってきました。

来歴・人物

脇村は和歌山県田辺市に生まれ、初等教育を受けた後、1921年に旧制第三高等学校を卒業し、1924年には東京帝国大学経済学部商業学科を卒業しました。卒業後、東京帝国大学で助手および助教授を務めますが、1935年から37年にかけてヨーロッパに留学した後、1944年には人民戦線事件で検挙されます。しかし1945年には無罪が確定し、戦後は東京帝大学校に復帰しました。

1951年には「第一次大戦後に於けるドイツの海運と造船」で経済学博士を取得。1961年には東京大学を定年退官し、1964年からは経営史学会の初代会長を就任するなど広報活動も行いました。また、持株会社整理委員会委員、海運造船合理化審議会委員など、産業界における数々の委員会でも重要な役割を視認し、さらには藍綬褒章や勲一等瑞宝章などの名誉も受けてきました。

業績と活動

脇村はまた、教育や芸術の分野でも広範に活動を展開しました。1957年に設立された脇村奨学会の役員として、若い才能の育成に注力し、神奈川県立近代美術館や東京都美術館などの運営にも関与しました。逗子や鎌倉で多くの文人や画家と交流し、近代芸術に対する理解を深めました。その過程で、大規模な美術品収集も行い、その大部分は田辺市立美術館や他の美術館に寄贈されました。このような収集活動は脇村の独特なアプローチを示しており、興味を持った画家について事前に徹底的に調査し収集を行っていたため、衝動買いや一目惚れとは無関係でした。

著書

脇村の著作は非常に多岐にわたります。主な著書には『世界経済の現状と貿易の将来』、岩波新書の『石油』や『中東の石油』、そして『趣味の価値』などがあります。さらに、彼の意見や研究を纏めた著作集も複数出版されており、経営発達史や経営者論に関する重要な資料として評価されています。

人間関係と最後の年

脇村の生涯には、多くの著名な人物たちとの交流があった。この活動の中で、彼は親しい友人や後輩たちとの対談を通し、学問と理念を広げていきました。また、生涯の数ヶ月前には、神奈川県立近代美術館の館長に自身の作品を譲る意向を示すなど、彼の美術への情熱や人間味あふれるエピソードが残されています。

脇村義太郎は、1997年に97歳で亡くなるまで、教育と文化の発展に寄与し続けました。彼の影響は現在も多くの分野に留まっています。

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