経済団体

経済団体（けいざいだんたい）は、企業を経営する人々や使用者、雇用主などが集結し、その集団としての利益拡大を図りつつ、広く社会全体の公益にも貢献することを目的として設立される様々な組織の総称です。

経済団体の多様な形態と名称

経済団体には、その構成や目的に応じて様々な呼称や分類があります。

国際的な視点から見ると、国際労働機関（ILO）は、使用者全般を指して「使用者団体」と呼び、複数の使用者が組織を形成している場合は「雇用者団体」と称します。

また、国際連合の持続可能な開発目標（SDGs）などの文脈では、民間の実業組織を総括して「民間部門（Private sector）」と表現することがあります。

特定の産業分野に属する企業や個人で組織される団体は、「業界団体（Trade association）」や「同業組合」などと呼ばれます。これらの団体の中には、業界内の自主的なルール作りや倫理規定の設定を行う「自主規制団体」としての役割を担うものもあり、公正取引協議会などがこれに該当します。

特定の専門的な職業に携わる人々で構成される団体は、「職能団体（Regulatory college）」として知られています。

さらに、特定の業種に限定されず、幅広い企業の経営者や事業者によって組織される団体としては、「企業団体（business association）」や「経営者団体」、「商工会議所（Chamber of commerce）」があります。これらの団体は、時に「財界」という言葉で包括的に捉えられることもあります。

広義には、特定の政治的な目的のために活動する「利益団体（Advocacy group）」の一種として経済団体が位置づけられる場合もあります。

日本における主要な経済団体

日本には、企業の規模や地域、業種などに応じた様々な経済団体が存在します。

特に、大企業を中心とした団体として、日本経済団体連合会（経団連）、経済同友会、日本商工会議所があり、これらは「経済三団体」として知られています。

また、中小企業や零細事業者を代表する団体としては、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会があり、「中小企業四団体」と呼ばれています。（日本商工会議所は大企業と中小企業の双方を会員に持ちます。）

これら全国的な経済団体以外にも、地域ごとの経済連合会（北海道経済連合会、関西経済連合会など）や、各地域の商工会議所・商工会（東京商工会議所、大阪商工会議所など）が存在します。

特定の業界に特化した全国銀行協会や生命保険協会、多様な医療関連団体、士業の団体（日本弁護士連合会など）、物流関連団体（全日本トラック協会など）、食品関連団体（全日本コーヒー商工組合連合会など）、漁業関連団体（全国漁業協同組合連合会など）など、無数の業界団体が活動しています。

さらに、ジェンダーや新産業、中小企業といった特定のテーマに特化した団体や、在日外国人コミュニティに関連する経済団体なども存在し、日本の経済社会の多様性を反映しています。

経済団体の役割と機能

経済団体は、会員企業や業界全体の利益を代表し、経済活動を円滑に進めるための様々な機能を持っています。重要な役割の一つは、政策提言や政治家、政府への働きかけ、いわゆるロビー活動です。

国会の公聴会への出席や、中央政府、地方自治体の審議会や懇談会へ委員を派遣し、意見を反映させる活動も行います。これにより、法制度や経済政策、社会政策などの決定プロセスに影響を与えようとします。

また、労働組合の全国組織（ナショナルセンター）と、雇用や労働条件に関する交渉や協議の場で対峙することもあります。

主な経済団体の例

国内外には多くの経済団体が存在します。

主な国際的な経済団体:

世界経済フォーラム

主な各国の経済団体:

貿易協会連盟（北米）
ビジネス・ラウンドテーブル（米国）
フランス企業運動（フランス）
リトアニア産業連盟（リトアニア）
コンフィンドゥストリア（イタリア）
ロシア産業企業家同盟（ロシア）
インド商工会議所（インド）
全国経済人連合会（韓国）

主な日本の経済団体:

日本経済団体連合会（経団連）
経済同友会
日本商工会議所（日商）
全国中小企業団体中央会
全国商工会連合会
全国商店街振興組合連合会
関西経済連合会
* 東京商工会議所

経済団体は、経済社会の重要な構成要素として、会員の利益保護、政策形成への関与、情報提供、交流促進など多岐にわたる活動を通じて、経済の発展や社会の変化に貢献しています。

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