経管栄養

経管栄養とは

経管栄養（けいかんえいよう、英：Tube feeding）は、経口摂取が不可能または不十分な患者に対し、体外から消化管内に挿入したチューブを用いて、栄養剤（流動食）を投与する医療処置です。

広義には、チューブを介して栄養を投与する方法全般を指し、高カロリー輸液も含まれることがあります。ただし、流動食を用いる場合は、特に経腸栄養（enteral nutrition）または経腸経管栄養と呼ばれます。

適応

経管栄養は、以下の様な場合に適応されます。

口から食事が摂れない場合
消化管やリンパ管に障害がなく、経腸栄養が可能な場合
治療上の理由で食事制限が必要な場合

流動食の種類

様々な種類の流動食が市販されており、栄養バランス、浸透圧、濃度などが異なります。患者の状態に合わせて、適切な流動食を選択することが重要です。

腎不全、肝不全、慢性低栄養の患者向けに、ビタミンや微量元素を強化した製剤
免疫力強化のために、アルギニンを添加した製剤

流動食には、医師の処方が必要な経腸栄養剤（保険適用）と、薬局などで購入できる濃厚流動食品（保険適用外）があります。

投与量

長期臥床などで腸管の運動機能が低下している患者の場合、嘔吐のリスクがあるため、少量から投与を開始し、徐々に増量します。投与量が増加する際は、胃内容物の量を定期的に測定し、嘔吐の危険性がないか確認します。最終的には、患者が必要とする生理的なカロリー量を満たすように投与量を調整します。

投与経路

一般的に、経鼻胃管から投与を開始します。しかし、経鼻胃管には、再挿入時の誤嚥や、長期挿入による副鼻腔炎のリスクがあります。そのため、長期的な経管栄養が必要な場合は、胃瘻や十二指腸瘻を造設することが検討されます。

合併症

経管栄養には、以下のような合併症のリスクがあります。

誤嚥性肺炎：経鼻胃管の誤挿入による事故が報告されています。
胃瘻の自己抜去：在宅介護で使用されることが多く、抜去後、瘻孔が短時間で閉鎖する危険性があります。

介護職員等による経管栄養

2012年4月より、一定の研修を修了した介護職員等が、喀痰吸引や経管栄養を実施できるようになりました。これにより、医療機関だけでなく、介護施設や在宅でも、より柔軟な経管栄養の提供が可能になりました。

その他

強制摂食
胃瘻
胃瘻造設術
Enteral administration - 腸経由で栄養や薬を投与する方法について
滋養浣腸

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