経量部

経量部について

経量部（きょうりょうぶ）は、サンスクリット語で「Sautrāntika」、パーリ語では「Suttavāda」として知られる部派仏教の一派です。この教団は説一切有部から派生し、3世紀末ごろにクマーララータ（鳩摩羅馱）によって創設されました。その後、4世紀にはシュリーラータ（室利羅多）によってさらなる発展を遂げました。

経量部は、ナーランダー大僧院で盛んな学問研究に関わり、同時期の他の仏教思想派と共に「インド仏教4大学派」の一つとして数えられています。経量部の名称は、論理やアビダルマといった枠組みではなく、経典を基準として重視する姿勢から来ています。

教義の特徴

経量部は、説一切有部のアビダルマの考え方を批判し、修正することに努めました。特に「三世実有」説に対しては、現代の法だけを認める立場を取っており、歴史的な観点は排除しています。また、「心所説」に対しては否定的で、心と心所、つまり付随現象の区別を認めず、単一の「心」として捉えることを提唱しました。

残された資料

経量部に関する古典的なアビダルマに関する文献は残念ながら現在は存在していません。一方で、説一切有部のアビダルマ関連書籍は数多く漢訳されており、現代に至るまで存在しています。著名な論師であるヴァスバンドゥ（Vasubandhu）やハリヴァルマン（Harivarman）などは、一時期経量部に関与していたとされていますが、彼らの作品が正当な経量部の見解を反映しているかどうかは不明です。

経量部の位置付け

経量部は、古代インドの仏教哲学の中で独特の位置を占め、教義の枠組みに新しい視点を提供しました。説一切有部との明確な相違点を保ちながらも、経典の重要性を強調する姿勢は、その後の仏教思想にも影響を与えました。経量部の教義は、多くの人々にとって信仰と理解を深めるための重要な資源とされています。

まとめ

経量部は、部派仏教の中でも経典重視の教義を持った一派であり、独自の視点から現代の法に焦点を当てた思想を確立しました。その影響は、現代の仏教思想にも見られるものであり、経量部の教義は今なお哲学的な探求の対象となっています。

もう一度検索