結婚 (1947年の映画)

映画『結婚』（1947年）について

木下惠介監督作品『結婚』は、戦後間もない1947年3月18日に公開された映画です。本作は、当時の社会情勢や価値観を背景に、結婚という制度を通して、家族のあり方や個人の幸福について深く掘り下げています。

ストーリーの背景

映画の舞台は、戦後の混乱と復興が進む日本。古い価値観が崩れ、新しい生き方が模索される時代です。そのような時代において、結婚は単なる個人の結びつきだけでなく、家と家との結びつきという意味合いも強く残っていました。しかし、自由な恋愛や個人の意思を尊重する考え方も徐々に広まりつつあり、結婚に対する価値観は大きく揺れ動いていました。

主要な登場人物

菅原積（演：上原謙）： 主人公の一人。新しい時代を生きる若者であり、自身の感情や意思を大切にしようとします。
松川文江（演：田中絹代）： もう一人の主人公。伝統的な価値観と新しい価値観の間で葛藤しながら、自身の幸せを模索します。
文江の父・浩平（演：東野英治郎）： 古い価値観を代表する人物。家の存続や体面を重視し、娘の結婚に強い影響力を持とうとします。
文江の母・ふき子（演：東山千栄子）： 夫の意見に従順でありながら、娘の幸せを願う母親。
文江の妹・君子（演：井川邦子）： 自由な恋愛を謳歌する現代的な女性。
文江の弟・敬二（演：鈴木彰三）： まだ幼いながらも、時代の変化を感じ取っています。
島本（演：小沢栄太郎）： 積の友人であり、結婚に対する異なる考え方を持っています。
藤枝（演：村瀬幸子）： 近所のおばさん。
下宿の主婦（演：岸輝子）： 下宿の管理人。
きよ（演：久慈行子）： その他。

スタッフ

監督・原案： 木下惠介
製作： 細谷辰雄
脚色： 新藤兼人
撮影： 楠田浩之
* 音楽： 木下忠司

テーマ

本作は、結婚という制度を通して、戦後の日本における家族のあり方、個人の自由、幸福の追求といったテーマを深く掘り下げています。登場人物それぞれの価値観や生き方が交錯する中で、観る者は自身の価値観を見つめ直すきっかけを与えられるでしょう。

映画史における意義

『結婚』は、木下惠介監督の初期の代表作として、また、戦後日本映画の重要な作品として、映画史にその名を刻んでいます。当時の社会情勢や人々の心情をリアルに描き出し、観る者の心に深く響く作品です。

参考文献：『新編 天才監督木下惠介』 論創社、2013年　ISBN 978-4846012472

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