岸輝子

岸輝子（きし てるこ）

岸輝子は、1905年5月1日に生まれ、本名は伊藤キシです。彼女は日本の女優として、特に舞台と映画で重要な存在となり、90歳で亡くなるまで長いキャリアを持ちました。夫には千田是也がいます。

生い立ちと初期の活動

北海道出身で、北海高等女学校を卒業後、一度は就職するものの、俳優の道を志しました。1925年には築地小劇場に入団し、研究生としての修行を開始。また、初舞台となる『寂しき人々』でその才能を発揮しました。築地小劇場が分裂した後の1936年には新築地劇団に参加し、劇団での活動を本格化させます。

劇団俳優座の設立

1940年に新劇人に対する弾圧の影響を受け、劇団は解散しますが、翌年には青山杉作、千田是也、東野英治郎などとともに劇団俳優座を創立しました。岸は俳優座の中心女優として活躍し、多くの舞台に出演。特に、1966年には『肝っ玉おっ母とその子供たち』で芸術祭奨励賞を受賞しました。また、1963年には演技の研究のためにヨーロッパに出かけています。

映画への進出

岸は舞台だけでなく、映画にも活発に出演しました。映画デビュー作は小山内薫監督による『黎明』ですが、戦後から本格的に活動を開始。黒澤明監督の『野良犬』をはじめとした多くの名作に登場し、特に母親役や老け役での演技で評価を得ました。

私生活と社会活動

私生活では、岸は東屋三郎と結婚しますが、1935年には死別。1940年には千田と同棲し、その年に発生した新劇人への大規模な弾圧により、千田が逮捕されます。千田は1942年に出所し、その年に結婚しました。彼女はまた、1962年に「日本婦人会議」を設立し、議長に就任。新日本婦人の会の活動にも関わり、活発な社会活動を行っていました。

最後の晩年

岸輝子は1990年5月10日、85歳で亡くなりました。彼女の墓所は染井霊園にあります。多くの舞台や映画に出演した実績をもち、日本の演劇界における重要な人物として後世に名を刻んでいます。彼女の演技は、今日の日本映画や舞台の基礎を成すものであり、多くの観客に感動を与えました。

主な出演作品

• - 映画: 『黎明』（1927年）、『野良犬』（1949年）、『白い巨塔』（1966年）など。
• - テレビドラマ: 『おかあさん』（1970年から）、および多くの劇場作品。
• - 舞台: 『肝っ玉おっ母とその子供たち』（1966年）や、『ハムレット』（1964年）などが代表作です。

岸輝子は、日本の文化と演劇の発展に寄与した偉大な女優であり、その業績は今も輝きを失いません。

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