結社の自由及び団結権の保護に関する条約

結社の自由及び団結権の保護に関する条約

概要

結社の自由及び団結権の保護に関する条約（ILO87号）は、国際労働機関（ILO）の基本的な条約の一つであり、労働者および使用者が団体を設立し、加入する権利を保障することを対象としています。この条約は、行政機関が労働者の権利を制限することを許可しないことが重要な内容となっています。

日本での批准の過程

この条約は1948年に採択され、1950年に発効しました。日本においては、労働界がILOの条約批准に向けた活動を展開しましたが、当時の国内法が条約に反しているとの理由で、公共企業体等労働組合協議会（公労協）や全国労働組合連絡協議会（総評）が日本政府に対して提訴を行いました。特に、1960年から始まった批准の動きは、一連の法律案として国会に提出されるも、いずれも否決されてしまいました。

ドライヤー調査団の派遣

1965年1月にILOは結社の自由に関する実情を調査するために、ドライヤー調査団を派遣しました。この調査団は、労働大臣や労働組合の指導者と面談をし、実情を把握することを目的としました。調査結果は、批准後の1965年8月31日に公表され、日本の労働環境についての詳しい評価がなされました。

国会での動き

1965年4月15日、自民党は衆議院の特別委員会で87号条約の承認を強行採決しました。この決定に対し、野党は異議を唱えましたが、最終的には修正案が可決し、5月17日には参議院でも承認されました。これにより、1965年6月14日には条約が正式に批准され、日本は70番目の批准国となりました。この過程においても、当時の公共企業体等労働関係法に矛盾が生じる部分があり、必要な法改正が行われました。

公務員のストライキ権

批准後も、特に公務員のストライキ権については議論が続いています。公務員制度審議会が設立され、ストライキ権の導入に向けた議論が行われましたが、結論は先送りとなりました。ドライヤー調査団の報告書では、日本政府の官公労のスト権禁止措置について批判がなされましたが、労働者側の無条件でのスト権付与にも賛同していません。妥協の可能性が模索されましたが、1973年の審議会では意見の対立が続き、制度が複雑に絡み合いました。

現在の状況

国がスト権容認の動きを見せたこともありましたが、1975年に発生したスト権ストの結果によって、未だに実現には至っていないのが現状です。さらに、2002年にはILOが日本の法令が本条約や98号条約に抵触すると判断しました。このように、日本においては結社の自由及び団結権の実現に向けた道は、依然として多くの課題を抱えていると言えるでしょう。

結論

労働者の権利を守るための国際的な条約の意義は大きく、その遵守が求められています。今後も労働環境の向上に向けて、国際基準の遵守に取り組んでいくことが重要です。

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