絢爛たる復讐:昭和の復讐劇、その魅力と謎
1969年、NETテレビ(現・
テレビ朝日)系列で放送された
テレビドラマ『絢爛たる復讐』。この作品は、冤罪によって犯罪組織に追われる青年医師の壮絶な復讐劇を描いた、忘れられた名作です。モノクロ映像と緊迫感溢れるストーリーが、視聴者の心を掴んで離しません。
悲劇から始まる復讐の連鎖
主人公の千田俊彦は、若き医師。しかし、彼は犯罪シンジケートに巻き込まれ、濡れ衣を着せられ殺されかけます。命からがら
フィリピンに逃亡しますが、日本で父が彼の罪を被り自首、そして獄中で自殺したことを知ります。愛する父を喪った千田は、復讐の鬼と化し、日本へと帰国。犯罪組織への壮絶な戦いが幕を開けます。
未公開の全編映像、そして主題歌
ドラマのオープニングテーマ「夜がつぶやく」は、
東映ビデオから発売された「
東映TVドラマ主題歌大全集 現代劇篇1」に収録されています。しかし、残念ながら全13話の本編が収録されたDVDやブルーレイは現在も発売されていません。この貴重なドラマを完全版で鑑賞したいというファンからの要望は、長年に渡り根強く存在しています。
主題歌「夜がつぶやく」と挿入歌「あなたを知りたいの」は、いずれも作詞を滝田順氏、作曲・編曲を渡辺宙明氏が担当し、歌は当真美智子氏が担当しました。放送当時、ポリドールレコードからシングルレコードがリリースされ、2009年にはユニバーサルミュージックジャパンからリリースされた「ブロードキャスト・トラックス
テレビ朝日編」にも収録されています。これらの楽曲は、ドラマの世界観をより深く理解する上で重要な要素となっています。
スタッフ・キャスト
ドラマ制作には、数々の名作を世に送り出したスタッフ陣が参加しました。プロデューサーは勝田康三氏。脚本や監督は、放送リストを参照する必要があります。音楽は、数々の特撮作品で知られる渡辺宙明氏が担当し、劇伴音楽はドラマに緊迫感と深みを与えています。擬斗は
渡辺高光氏、制作はNETと
東映テレビプロが共同で行いました。
キャストには、
竜崎勝氏(千田俊彦役)、
高松英郎氏(木崎役)、
城野ゆき氏(久美役)、佐藤友美氏(ひとみ役)、
瞳麗子氏(郁子役)、
堀勝之祐氏(大津役)、
南原宏治氏(沖元役)、そして
池部良氏(池永元刑事役)など、個性豊かな俳優陣が名を連ねています。彼らの熱演は、視聴者の感情を揺さぶる、ドラマの重要な構成要素となっています。
忘れられた名作、そしてその価値
『絢爛たる復讐』は、放送から半世紀以上が経過した現在でも、その全編映像が未発売であることから、多くの視聴者にとって謎めいた存在です。しかし、その存在を知る者にとって、このドラマは、昭和時代の復讐劇を代表する作品の一つと言えるでしょう。
冤罪、家族の死、復讐、そして時代背景。これらの要素が複雑に絡み合い、緊迫感あふれるドラマを構築しています。モノクロ映像による独特の雰囲気も相まって、視聴者を当時の日本へと引き込みます。未だにDVDやBlu-ray化されていない点も、このドラマの希少性と、多くのファンからの熱い要望の高さを物語っています。