給水塔

給水塔とは

給水塔（きゅうすいとう、英語: water tower）は、給水システムにおいて、必要とされる水圧を確保するために設けられた巨大なタンクのことです。産業革命時代に多くの給水塔が建設され、そのうちのいくつかは現在でもランドマークやモニュメントとして保存されています。一方で、取り壊されて集合住宅などに建て替えられた例もあります。

構造

典型的な給水塔は、鉄鋼、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート、煉瓦などを用いて建設されます。一般的な形状は球形または円筒形で、直径は約16メートル、高さは約40メートル程度です。

目的

給水システムにおいて、安定した水圧を維持することは非常に重要です。水圧が不足すると、以下のような問題が発生する可能性があります。

建物の上層階まで水が届かない
蛇口からの水量が不十分になる
* 一部の地形では、給水塔がない重力式給水システムにおいて負圧が生じ、地下水が混入し、汚染される

給水塔は、重力を利用して給水管に水圧を供給するため、停電時でも一時的な給水が可能です。ただし、タンクへの揚水には電力が必要なため、長時間の供給は困難です。また、給水塔は、水使用のピーク時に貯水池としての役割も果たします。ピーク時には水位が低下し、夜間にポンプで水を補給することで、寒冷地でも凍結を防ぎます。

運用

給水システムの静水圧は、給水塔の高さによって決定されますが、ポンプで補助されることもあります。貯水量と配管の直径によって流量が決まります。ポンプによる圧力供給はコストがかかるため、給水塔は効率的な給水システムに不可欠です。ポンプを使用する場合、流量が大きい場合でも一定の水圧を保つ必要があり、そのためには高価な制御システムと大容量のポンプが必要になります。

火災時には大量の水が必要となるため、給水塔は平均使用量に応じたポンプサイズで対応できます。日中は給水塔によって水圧を発生させ、需要の少ない夜間にポンプで揚水します。

装飾

給水塔は、装飾的なレンガ造りや植物で覆われたもの、塗装が施されたものなど、様々なデザインが見られます。一部の都市では、航空機の航行を助けるために、給水塔に都市名が記されています。また、ユーモラスな装飾が施された給水塔も存在します。例えば、アイオワ州グレンジャーには「HOT」と「COLD」と名付けられた2基の給水塔があります。イングランドのサフォーク州にある「The House in the Clouds」は、家のような外観を持ち、下層階は宿泊施設として利用されていました。

現代の用法

電力供給が不安定な地域が多いインドでは、多くの給水塔が利用されています。また、多くの国々で、給水塔はポンプに置き換えられ、土木工学のモニュメントとして扱われています。一部の給水塔は、現代的な用途に合わせて改修されており、例えば、稲葉地配水塔は演劇の練習場として再利用されています。ニューヨーク市では、伝統的な木製の給水塔が、屋上に設置されており、街の景観の一部となっています。

鉄道での利用

蒸気機関車が使われていた時代には、機関車の水タンクに水を補給するための給水塔が、機関庫や駅に設置されていました。給水塔には、ウォータークレーンが備え付けられており、木製のものも存在しました。

その他の用途

給水塔は、展望台として利用されることもあります。ドイツのジンデルフィンゲンにある「Goldbergturm」のように、レストランが併設された給水塔もあります。また、地域限定の放送や、携帯電話の基地局として利用されることもあります。

ギャラリー

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出典

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