絶対覚醒天使ミストレス☆フォーチュン

種村有菜による日本の漫画作品、『絶対覚醒天使ミストレス☆フォーチュン』は、『りぼん』（集英社）にて2008年 7月号から同年9月号にかけて短期集中連載されました。この連載開始号では、本作のスタートと、同誌で人気を博していた『紳士同盟†』の最終回が同時に掲載されるという、当時としては珍しい試みがなされました。また、連載開始前に、作者自身のウェブやインターネットラジオ番組を通じて、全3話構成の物語であることが事前に明かされていました。

物語の概要

物語の主人公は、中学2年生の立川妃。彼女は特別な超能力の持ち主であり、防衛省の秘密機関『PSI』の一員として活動しています。日々の任務は、宇宙から飛来する謎の生命体『イーバ』を退治すること。妃はクールな相棒である羽柴銀色と共に戦場へ赴きます。しかし、妃は超能力の制御が苦手で、組織内では「落ちこぼれ」と見なされ、任務中も失敗を重ねてしまいます。

そんな妃は、相棒である銀色に密かに想いを寄せています。しかし、PSIの規則により、18歳未満の隊員同士の個人的な情報交換が制限されているため、同い年である銀色が自分より上位の超能力者であること以外の詳しい情報は何も知りません。一方、銀色は妃と初めて会ったその日から、なぜか彼女のバストにしか興味がないような態度を見せ、超能力増幅剤『ESPD』の影響で体重増加を気にする妃に対しても、度々セクハラとも取れる発言を繰り返します。そのたびに妃はESPDを飲み、お仕置きとして強力な電磁波動弾『スピリッツサンダー』を銀色に浴びせるのが常でした。妃はそんな銀色に対し、複雑な感情を抱いていました。

しかし、物語が進むにつれて、二人の関係性には変化が見られます。妃は幼少期に超能力が暴走し、家族を巻き込む事故を起こしたという銀色の過去を知らされます。そして、超能力の新たな使い方である「テレパシー」を銀色から教わる中で、妃は徐々に彼との距離が縮まっていくのを感じ始めます。

ある日、妃は司令官である群青遥から呼び出され、驚くべき真実を知らされます。それは、妃が宇宙のフォトンベルトと同じ波動を持つ特殊な電磁波『プラネット・フォトン』を扱える、世界でただ一人の能力者であるということでした。この特別な力を使い、アメリカの活火山に巣食うイーバを消滅させてほしいという依頼が、PSIのアメリカ支部から舞い込んできたのです。

当初、アメリカ行きをためらう妃でしたが、司令から銀色の母親に関する情報が伝えられます。銀色の母親は、銀色の超能力暴走が原因で昏睡状態にあり、アメリカには超能力暴走の被害者を専門とする病院があること、そして妃の協力次第で母親を優先的に診てもらえる可能性があることを告げられたのです。銀色に真実を隠したまま、妃はアメリカ行きを決意します。銀色にその決意を伝えた直後、予期せぬ銀色からの告白を受け、心に戸惑いを抱えたまま妃は一路アメリカへと旅立ちます。

イーバ消滅作戦の決行日。妃は空中から全力を込めて電磁波動弾をイーバに放ちますが、突如能力値が急激に低下。第2射を放つ直前に飛行能力も失い、熱せられたイーバの真上へと落下してしまいます。絶体絶命の危機でしたが、接触寸前のタイミングで銀色に救出され、失われた能力も回復。妃と銀色は力を合わせ、無事にイーバを消滅させることに成功します。任務後、司令がアメリカ滞在期間を短く伝えていたことが銀色にばれ、お仕置きとして司令は銀色に殴られます。そしてその「お詫び」として、司令は二人に銀色の母親の見舞いを許すのでした。

登場人物

立川妃（たちかわきさき）: 本作の主人公。中学2年生。超能力を制御できず『落ちこぼれ』扱いされていたが、唯一『プラネット・フォトン』を持つ存在。任務時には『フォーチュンティアラ』に変身し、髪の色がピンクに変わります。銀色に片思い。
羽柴銀色（はしばぎんいろ）: 妃の相棒で同級生。5歳から超能力を使う上級者。任務時には『フォーチュンクォーツ』に変身します。妃に一目惚れしたものの、態度で誤解を与えがち。幼少期の超能力暴走により家族を失い、母親は昏睡状態という壮絶な過去を持ちます。
群青遥（ぐんじょうはるか）: PSIの司令官。妃たちに指示を与え、訓練も担当します。特級超能力者ですが、高所恐怖症のため自ら出撃することはありません。
一ヶ谷鏡美（いちがやかがみ）: 妃の親友。妃が超能力者であることを知る数少ない人物で、明るく友達思いです。
イバ子: ウサギのような姿のイーバ。妃のぬいぐるみが仮の姿でした。後にPSIに協力するようになり、妃たちと行動を共にします。メタフィクション的な発言も。

作中用語

イーバ: 地球侵略を企むエイリアン。様々な姿で社会に潜伏し、能力や危険度に応じて分類されます。
超能力: 作中では、周囲の電磁波を操作することで発揮される能力。飛行や念力、テレパシーなどがあります。能力者はPSIへの入所が義務付けられています。任務時には特別な服装に変身し、天使のような翼が生えます。
PSI（サイ）: 防衛省に属する超能力研究所。能力者の訓練や能力の安定化を図る組織で、イーバ出現時には能力者のコンビに出撃指示を出します。アメリカにも支部があります。
* プラネット・フォトン: プレアデス星団のフォトンベルトと同じ波動を持つ特殊な電磁波。イーバを原子レベルで消滅させる力があり、作中では妃のみが扱えます。

メディア展開

2008年8月には、集英社のインターネットラジオ局S-ラジのコンテンツ『VOMIC』にて、全4回のラジオドラマ化も行われました。

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