網代漁港 (静岡県)

網代漁港（あじろぎょこう）

網代漁港は、静岡県熱海市網代に位置する重要な漁業拠点です。水産業振興上特に重要であると位置づけられている第3種漁港に指定されており、相模湾の豊かな漁場を背景に、多様な漁業活動が行われています。特に大型の定置網漁法が盛んなことで知られ、地域の海の玄関口としての役割を担っています。

概要

この漁港の管理は静岡県が行っています。漁業活動の中核を担うのは、いとう漁業協同組合網代支所です。この組織は、2010年（平成22年）に網代港漁業協同組合が伊東市漁業協同組合と合併して誕生しました。2001年（平成13年）12月時点では、組合員数は834名でした。網代漁港には、国によって定められた漁港番号として2630020が付与されています。

沿革

網代漁港の歴史は、1951年（昭和26年）8月21日に第3種漁港として指定されたことから始まります。この指定は、漁港の整備や機能強化を国や県の支援のもとで進めるための重要なステップでした。組織面では、地域の漁業活動を支えてきた網代港漁業協同組合が、周辺地域の漁協との連携強化などを目的として、2010年（平成22年）に伊東市漁業協同組合に吸収合併され、いとう漁業協同組合の網代支所となりました。近年では、漁港内の施設における安全性の向上が図られており、2016年（平成28年）7月以降、防波堤などへの関係者以外の立ち入りを厳格に制限する措置が徹底されています。

主な水揚げ魚種と漁業

網代漁港では、年間を通じて様々な種類の魚が水揚げされます。主な魚種としては、アジ類、タイ類、ブリ、イワシ、ソウダガツオなどが挙げられ、相模湾の豊かな生態系を反映しています。

行われている漁業も多様です。中でも、漁港の代名詞ともなっているのが大型定置網です。これは、大規模な網を特定の場所に設置し、そこに入り込んだ魚群を漁獲する伝統的かつ効率的な漁法です。この他にも、比較的小規模な小型定置網漁も行われています。また、天然の漁獲に加えて、海面を利用した養殖業も地域の重要な産業となっており、特にタイ類やブリの養殖が行われています。

漁港施設と周辺環境

網代漁港内および周辺には、漁業活動に関連する施設や、地域住民や訪問者が利用できる施設が存在します。漁港の西部には「網代港直売所」があり、水揚げされたばかりの新鮮な魚介類や地元の特産品を購入することができます。これは漁業の恵みを地域と分かち合う拠点となっています。

漁港の北東部には、船舶の安全な航行を導く「伊豆網代灯台」があり、そこから続く「港北防波堤」と共に港を守っています。また、漁港の西部には、一般の人々が手軽に海釣りを楽しめる「海上釣り堀（太公望・東海）」が設けられており、釣り愛好家や家族連れに親しまれています。

地域との関わりとイベント

網代漁港は、地域の文化やイベントとも深く結びついています。毎年7月下旬には、網代の夏の風物詩である「網代ベイフェスティバル」が開催されます。この祭りは、地域の守護神である阿治古神社の例大祭に合わせて行われ、漁港周辺を会場に海上花火大会などが催され、多くの来場者で賑わいます。漁港は、このような地域を代表するイベントの舞台ともなり、コミュニティの中心としての役割も果たしています。

まとめ

網代漁港は、長年にわたり静岡県熱海市の重要な漁業拠点として、地域の産業と暮らしを支えてきました。第3種漁港としての指定、大型定置網をはじめとする多様な漁法、そして直売所や釣り堀、灯台といった施設は、この漁港が持つ多面的な機能を示しています。安全管理の強化や、地域イベントへの貢献など、網代漁港はこれからも地域の海の玄関口として、その重要な役割を果たしていくことが期待されます。

もう一度検索