網代綴じ

網代綴じ（あじろとじ）は、書籍や冊子を製本する際に用いられる方式の一つで、無線綴じの一種です。具体的には、複数のページをまとめた折丁（おりちょう）と呼ばれる束の背の部分に、一定の間隔で細かい切り込みを入れます。この切り込みから接着剤（糊）を浸透させることで、各ページをまとめて一冊の本として固定します。

特徴

接着方法: 糸や針金を使用せず、糊のみで本文と表紙を接着します。
背の加工: 折丁の背に切り込みを入れ、糊の浸透を助けます。

利点

開きやすさ: ページが比較的大きく開くため、閲覧性に優れています。
強度: 各ページが糊でしっかりと接着されているため、耐久性が高いです。
コスト: 糸かがり綴じに比べて、材料費や加工費が安く、大量生産に向いています。

欠点

再製本の困難さ: 糊で完全に接着されているため、ページを分解して再製本することが難しいです。

歴史

網代綴じは日本で発明された製本技術であり、1969年に大月書店が出版した『レーニン十巻選集』が、大量に出版された最初の網代綴じ製本として知られています。それまで主流であった糸かがり製本に代わり、現在では単行本を中心に多くの書籍で採用されています。

現在の利用

コスト効率の良さから、現在では幅広い書籍に利用されています。特に、大量生産される書籍や、ページ数の多い書籍に適しています。

参考情報

より詳細な情報については、大貫伸樹氏の著書『製本探索』（印刷学会出版部、2005年）を参照ください。この書籍では、網代綴じを含む様々な製本技術について、詳しく解説されています。

網代綴じは、その手軽さと実用性から、現代の出版業界において重要な役割を果たしている製本方法と言えるでしょう。

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