綿井永寿

綿井永寿（わたい えいじゅ）は、1928年11月20日に愛媛県で生まれ、1998年5月30日に亡くなった、日本のラグビー界において多大な功績を残した人物です。選手、指導者として活躍し、特に日本体育大学（日体大）ラグビー部の監督として、その名を広く知られました。後に、日体大の第6代学長も務めています。

現役時代のポジションはフランカー（FL）で、旧制北予中学、中央大学を経て、日体大に進みました。日体大ラグビー部の監督に就任してからは、強豪の「早慶明」に対抗するため、独自の戦略を打ち立てました。それが「ランニングラグビー」です。綿井は、伝統校に打ち勝つには、ひたすら走り勝つしかないという信念を持っていました。その信条を体現したランニングラグビーは、日体大のプレースタイルとして確立され、その後の躍進の原動力となりました。

綿井が監督を務めていた1969年度、日体大ラグビー部は目覚ましい成果を上げました。有賀健選手らを擁し、関東大学ラグビー対抗戦グループで初優勝を飾ると、その勢いのまま第6回全国大学ラグビーフットボール選手権大会に臨みました。決勝では、強豪・早稲田大学と対戦。激戦の末、11-9で早稲田大学を下し、見事初優勝を成し遂げました。この勝利は、日体大ラグビー部にとって、歴史的な瞬間となりました。

さらに、日体大の快進撃は止まりません。続く第7回日本ラグビーフットボール選手権大会では、社会人代表の選出が難航し、最終的に富士鐵釜石（後の新日本製鐵釜石ラグビー部、現在の釜石シーウェイブス）が出場することになりました。日体大は、その富士鐵釜石に対し、29-13で圧倒的な勝利を収めました。この勝利によって、日体大は早稲田大学に続き、大学チームとしては史上3校目となる、ラグビー日本一の栄冠を手にしたのです。

綿井永寿の指導の下、日体大ラグビー部は、大学ラグビー界に新たな風を吹き込みました。ランニングラグビーという独自のスタイルを確立し、強豪校を次々と打ち破って日本一に輝いたその功績は、今もなお語り継がれています。綿井永寿は、日本のラグビー史にその名を刻む、偉大な指導者の一人です。

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