総統府 (台湾)

総統府について

総統府は中華民国の総統・副総統が執務を行う重要な建物であり、台北市中正区重慶南路に位置しています。歴史的には日本統治下の1919年に完成し、それ以来台湾の政治中枢としての役割を果たしてきました。現在、この建物は中華民国の国定古蹟に指定されており、その歴史的価値と美しい建築が評価されています。

沿革

日本統治時代

1895年、下関条約に基づいて台湾は清から日本に割譲され、その後台湾総督府が設置されました。この時期、新庁舎の建設が計画され、1907年に設計競技が実施されました。このコンペには著名な建築家たちが参加し、建物は最終的に辰野金吾のデザインによって完成しました。

新庁舎は1912年に起工し、1919年に竣工しました。当時は台湾で最も高い建物となり、エレベーターや禁煙室の設置など、先進的な試みがなされました。しかし、太平洋戦争中に台北は空襲を受け、庁舎も被害を受けてしまいました。

中華民国時代

1945年に日本の敗戦を受け、台湾は中華民国に引き渡されました。その後、旧総督府庁舎の修復計画が立てられ、1948年に介寿館として新たに利用されることとなりました。1950年には、総統府および行政院の設置が決定され、以降は中華民国政府の事務所として使われるようになりました。

近年では、2005年に台北市民による投票で特色ある建築の一つに選ばれたほか、2006年に「総統府」に改称されました。

設計と特徴

総統府は約140メートルの間口と85メートルの奥行き、延床面積およそ6,942平方メートルのスケールを誇っています。ルネサンス様式の外観は、辰野式と呼ばれ、日本の建築スタイルが色濃く表れています。外壁は赤レンガと白い花崗岩で装飾され、中央に約60メートルの高い塔がそびえています。

建物内には大理石と阿里山のヒノキが使用され、内部は豪華に装飾されています。特にこの建物の配置は日本統治を象徴する設計に見え、上から見ると「日」の字を形成しています。

施設

総統府の内部には多くの部屋がありますが、ほとんどは番号で管理されています。名称のある部屋には「中山庁」や「経国庁」などがあり、それぞれの歴史的背景や文化に由来した名前が付けられています。また、室内装飾には台湾の文化や歴史を反映したデザインが施されています。


このように、総統府は台湾の政治だけでなく、歴史的な建造物としても重要な役割を果たしており、その存在は台湾人にとって誇りとされています。

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