総記

総記（そうき）とは

図書館学において「総記（そうき）」とは、図書館が所蔵する様々な資料を主題に基づいて整理・分類する際に設けられる、特定の区分の一つを指します。これは、学問分野別の分類では捉えきれない性質を持つ資料を効率的に扱うために非常に重要な役割を果たしています。

分類される資料の範囲

総記に分類される資料は、その主題や内容に多様な特徴があります。主なものとしては、以下の二つのカテゴリーに大別できます。

1. 複数の分野あるいは全分野にわたる資料、または特定の分野に属さない資料:
一般的な学問分野ごとの専門書とは異なり、特定の分野に限定されず広範な知識や情報を含む資料がこれにあたります。例えば、あらゆる分野の事柄について解説した百科事典や、一年間の出来事、統計、人事情報などを網羅した年鑑は、その内容が多岐にわたるため、一つの専門分野に分類することが困難です。また、日々の社会情勢や多様なニュース、文化、経済など幅広い情報を掲載する新聞も、特定の分野に分類することが難しいため、総記として扱われることが一般的です。さらに、様々な著者の論文や著作、あるいは多岐にわたるテーマの作品をまとめて刊行される叢書（そうしょ）なども、個々の内容が異なるため、総記に分類されることがあります。これらの資料は、特定の専門知識を探すのではなく、一般的な教養を得たり、全体像を把握したり、特定の分野を超えた情報を得たりする目的で利用されることが多いため、分野横断的な情報源として一箇所にまとめられていることは、利用者にとって高い利便性を提供します。

2. 図書館学および関連資料:
図書分類の理論的な基礎をなす図書館学そのものを主題とする資料も総記に含まれます。これには、図書館の運営、資料管理、分類法の理論や実践、情報サービスなどに関する専門書が含まれます。また、図書館が所蔵する資料を探すための目録（蔵書目録など）や、特定のテーマや著者に関する文献情報を集めた書誌なども、直接的な主題内容というよりは、図書館資料そのものへのアクセスを助けるツールとしての性格が強いため、総記に分類されます。これらの資料は、図書館をより効果的に利用するため、あるいは図書館の仕組みや情報探索の方法について学ぶ上で不可欠な情報源となります。

日本十進分類法（NDC）における総記

日本国内の多くの図書館で資料整理のために採用されている日本十進分類法（NDC）において、総記は主要な分類区分の一つとして位置づけられています。NDCでは、資料の主題を0から9までの10個の主要なカテゴリーに大きく分け、さらにそれを細分化していきますが、総記は最も基本的な分類である「0」の区分に割り当てられています。具体的には、「0××」という形で表記され、前述した図書館学、目録、書誌といった図書館関連資料のほか、新聞、百科事典、叢書、年鑑などがこの「0」の区分の中に含まれています。

総記分類の意義

このように、総記という分類部門を設けることには、図書館資料を網羅的かつ利用者がアクセスしやすい形で整理する上で重要な意義があります。特定の専門分野に収まらない多様な情報源を一元的に管理することで、図書館側は分類の混乱を防ぎ、資料の所在を明確にできます。一方、利用者側にとっては、一般的な知識の探索や、図書館の利用方法に関する情報を探す際の明確な入り口となります。総記は、専門分野に特化した分類とは異なる視点から資料をまとめることで、図書館全体の利便性を高め、多様な利用者のニーズに応えるための基盤を形成していると言えるでしょう。

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