総譜

総譜（そうふ）について

総譜とは、合奏や重奏に関してすべての楽器パートを一つにまとめた楽譜のことを指します。この楽譜は、一般にフルスコアまたは単にスコアとも呼ばれ、音楽の構造を把握するうえで非常に重要です。特に指揮者が合奏全体を俯瞰する際に使用します。

概要

「総譜」という言葉は、イタリア語で「Partitura」、ドイツ語で「Partitur」と呼ばれ、各種のパート譜を集約したという意味合いがあります。作曲者や編曲者は、合奏用の楽譜を作成する際、まずこの総譜を作り上げ、その後に個々のパート譜を起こすのが一般的です。英語では「full score」と呼ばれ、カタカナ表記の「スコア」はそれ単独では一般的な楽譜を指すことがあります。

楽譜は通常、時間を横軸にとり、各楽器パートが縦に並べられています。これにより、同時に演奏されるパートが適切に整理されて表現されます。楽譜の左端には、それぞれのパート名が記載され、音がどの楽器から出されるかが明確に示されます。

パートの配置と歴史

楽器の名前が楽譜に明記されるようになったのは、16世紀末からです。それ以前の中世においては、楽器の使用は歌の補助的なものに過ぎませんでした。現在では、楽器のパートが所定の位置に書かれ、具体的な演奏が行われることを考慮して、配置されています。

例えば、オーケストラの場合、一般的には木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器の順に並ぶことが多いです。また、パートの記譜の際には、音の高い楽器が上に、低い楽器が下に配置される傾向があります。

総譜における記号

総譜では、テンポに関する記号は合奏全体に関わるため、楽譜上部に一括して記載されることが一般的です。練習番号や小節番号は演奏には直接関与しないものの、便宜のために楽譜の上下に付されます。強弱記号や表現に関する指示は、パートごとに異なることがあるため、各パートの五線の上下に書かれます。

さらに、移調楽器のパートは、その楽器の特性を反映した形で記譜され、それを実音に移調して演奏する必要があります。作曲家によっては、20世紀に至ると移調なしに楽譜が作成されることもあります。

スコアリーディング

総譜を読む作業は「スコアリーディング」と呼ばれ、これも音楽の理解には欠かせないスキルです。指揮者や作曲家にとって、この技術は特に重要です。スコアリーディングは単に楽譜を読むだけでなく、頭の中で音の構築を行い、場合によってはピアノなどで音を鳴らす工程も含みます。

学習の過程では、最初にハ音記号を多く含む合唱譜から始まり、次第にハイドンやモーツァルトといった古典派の曲、そしてロマン派の交響曲を通じて、最終的には現代の作曲家の作品に至るという流れが一般的です。

まとめ

総譜は、音楽合奏の全体像を把握するための基本的な資料であり、音楽家全員にとって重要な位置を占めています。その構造や配置、記号、さらにスコアリーディングについての理解は、音楽を演奏する際に非常に役立つ知識となります。

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