緑の党 (フランス)

フランスの緑の党：環境保護運動から政党合流まで

フランスの緑の党は、1982年に設立された環境政党です。しかしその歴史は、それ以前の1974年、ルネ・デュモンによるフランス大統領選挙への立候補にまで遡ります。この出馬は、台頭しつつあった環境保護運動が政治的影響力を持ち始めたことを示す象徴的な出来事でした。

デュモンの挑戦の後、フランスの環境保護主義者たちは「エコロジー78」、「エコロジー・ヨーロッパ」、「今日の環境」といった様々な団体を設立し、地方選挙、国政選挙、そして欧州議会選挙へと積極的に候補者を擁立していきました。これらの活動は、後に緑の党結成の礎となりました。

1982年、「環境主義者党」と「環境連合」が合併し、緑の党が正式に誕生します。アントワーヌ・ヴェシュテルの指導の下、党勢は拡大。1988年の大統領選挙では、ヴェシュテルが党公認候補として立候補し、115万票を獲得しました。続く1989年の欧州議会選挙でも、ヴェシュテルをトップに据え、10.59%の得票率という好成績を残しました。

しかし、党内ではヴェシュテルの「右翼にも左翼にも与しない」という路線に対する批判が強まり、党は次第に左翼へと傾斜していきました。この路線対立は、1994年にヴェシュテルが離党し、「独立環境運動」を結成することにまで発展します。

ヴェシュテル離党後、緑の党は新たな道を歩み始めます。1995年の大統領選挙ではドミニク・ヴォワネが立候補し、101万票を獲得。1997年の国民議会選挙では7議席を獲得し、社会党や共産党と連立内閣を組閣、ヴォワネは環境相に就任しました。

1999年の欧州議会選挙では、1968年五月革命の指導者として知られるダニエル・コーン＝ベンディットを代表に、7議席を獲得。2002年の大統領選挙では、当初アラン・リピエッツが候補者でしたが、ノエル・マメールに交代。マメールは5.25%の得票率を獲得し、これは緑の党にとって最高得票率となりました。しかし国民議会選挙では3議席にとどまりました。

2002年以降、緑の党は党内抗争に見舞われますが、ジル・ルメールの党全国書記就任によって、一応の決着を見ます。その後、ルメールはヤン・ヴェーリングに交代しました。2004年の欧州議会選挙では8.43%を獲得、2005年の欧州憲法批准国民投票では賛成を表明しました。

2007年の大統領選挙ではドミニク・ヴォワネが再び立候補しましたが、得票率は1.57%に留まりました。国民議会選挙では4議席を獲得。そして2010年11月13日、緑の党はヨーロッパ・エコロジーと合流し、「ヨーロッパ・エコロジー＝緑の党」として新たなスタートを切ります。2012年の大統領選挙では、エヴァ・ジョリが党公認候補として立候補し、2.31%の得票率を獲得しました。

緑の党の青年組織である「緑のネズミ」は、2001年にストラスブールで創設されました。

緑の党は、フランスにおける環境保護運動の政治化において重要な役割を果たした政党です。その歴史は、党内抗争や路線変更といった困難な時期もありましたが、常に環境問題への取り組みを継続し、フランスの政治に影響を与え続けてきました。ヨーロッパ・エコロジー＝緑の党への合流は、新たな段階への移行を意味すると同時に、環境問題への取り組みの重要性を改めて示すものです。

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