緑の基本計画

緑の基本計画とは、都市緑地法第4条に基づいて、市町村が策定する、緑地の保全および緑化の推進に関する総合的かつ計画的な方針を示す文書です。この計画は、地域の将来における緑のあるべき姿や、その実現に向けた目標、そして具体的な施策などを定めることによって、緑豊かなまちづくりを効果的に進めることを目的としています。

計画の主体とプロセス

緑の基本計画を策定するのは、それぞれの市町村といった地方自治体です。計画の策定にあたっては、住民の意見を反映させることが重視されており、公聴会の開催など必要な措置を講じるよう努めることが求められています。また、策定された計画は広く公表されるよう努めることで、その内容の透明性を確保し、住民や関係者との共通理解を図ることが期待されています。

計画に定められる主な事項

緑の基本計画には、多様な視点から緑に関する方針が盛り込まれます。主に以下のような内容が定められます。

緑地の保全および緑化の目標（おおむねの方針）
緑地の保全および緑化を推進するための施策に関する事項
特別緑地保全地区における緑地の保全に関する事項
緑地の保全に関連して必要となる施設の整備に関する事項
緑化地域以外の区域で、重点的に緑化を推進すべき地区とその推進策
緑地の確保のための土地の取得や、取得した土地の管理に関する事項
管理協定に基づいた緑地の管理に関する事項
緑地保全地域や特別緑地保全地区以外の区域で、重点的に緑地の保全に配慮すべき地区とその保全策
緑化地域における緑化の推進に関する事項

これらの事項を包括的に定めることで、地域全体の緑地の状況を把握し、将来に向けた一貫した緑地の確保、維持、創出の方針を示すことができます。

都市公園との連携

緑の基本計画の中で、地方公共団体が設置する都市公園の整備方針や、その他保全すべき緑地の確保・緑化推進に関する事項（都市公園法第3条第2項に定める内容を含む）を定めた場合、都市公園を設置する際には、原則としてこの緑の基本計画に即して整備を進めるよう努めることとされています。これにより、公園整備が緑地の保全・緑化推進の全体計画と調和し、より効果的に進められます。

緑化重点地区総合整備事業

緑の基本計画には、特に集中的な緑化推進を図るべき地区が「緑化重点地区」として指定されることがあります。この緑化重点地区において、計画に定められた緑化目標や年次計画に基づき、緑地の整備や公共公益施設の緑化を集中的に行う事業が「緑化重点地区総合整備事業」です。

この事業の対象となる地区は、三大都市圏や地方中核都市などの都市拠点地域の中から選定されます。具体的には、以下のような緑化の必要性が特に高い地区が対象となり得ます。

良好な景観を形成するために緑地の整備や緑化が必要な地区
ヒートアイランド現象の緩和や、河川等と連携したエコロジカルネットワークの形成など、都市環境の改善のために緑地の整備や緑化が必要な地区
避難地の不足など防災上の課題があり、延焼防止帯となる緑地の確保や市街地の緑化が緊急的に必要な地区

これらのいずれかに該当し、かつ合計で5箇所以上の緑地整備または公共公益施設の緑化を行う事業が実施される地区が要件となります。

事業の対象としては、都市計画決定がされていない公園や緑地を含むこともあり、1箇所あたりの事業対象面積は原則として500平方メートル以上と定められています。事業完了後は、原則として都市公園として管理されますが、やむを得ない場合は市町村の条例等に基づいた公園や緑地として管理することも認められています。また、事業には都市公園の整備だけでなく、地区全体の緑豊かな環境形成に貢献する公共施設や公用施設の敷地および建築物の緑化も含まれます。

このように、緑の基本計画は、地域の特性やニーズを踏まえ、緑地の保全と緑化推進を計画的に進めるための重要な指針であり、具体的な事業展開とも連携しながら、持続可能なまちづくりに貢献しています。

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