緑礬

緑礬（Melanterite）について

緑礬とは、化学構成が硫酸鉄(II)の七水和物である鉱物で、化学式はFeSO4・7H2Oで示されます。単斜晶系に属するこの鉱物は、淡緑色の水溶性を持ち、主に黄鉄鉱や磁硫鉄鉱が酸化分解する際に生成される二次鉱物です。その独特の性質から、さまざまな用途に活用されてきました。

特徴

緑礬は、結晶中の一部の鉄イオンが銅イオンなどによって置き換えられることがあります。また、この鉱物は空気中で風解しやすく、酸化して三価の鉄を形成し、淡黄色の粉末に変化します。この過程では、鉄六水石、シデロチル石、ローゼン石などに変わります。

特に、その製造プロセスが注目されます。磁硫鉄鉱から緑礬を人工的に生成し、その後焼成することで「ローハベンガラ」と呼ばれる酸化鉄を得る技術が発展しました。この技術は、岡山県高梁市の備中緑礬山や西江邸において実践されてきました。

歴史と用途

緑礬の歴史は古く、宝暦4年（1754年）の「日本山海名物図会」には、上品の緑礬が外科的な軟膏の成分や、下品が染料および顔料に使用されていたという記述があります。主な産地としては、長州萩、摂州多田銅山、そして備中緑礬山が挙げられます。

また、中国の明時代に著された「本草網目」では、人造の緑礬を作り、焼くことによって質の高い色相を得る方法が記されています。その結果、得られるベンガラは建造物の外壁塗装など、多くの場面で利用されました。

緑礬グループ

緑礬は同類の鉱物群に属し、マラー石（MnSO4・7H2O）、赤礬（CoSO4・7H2O）、ブース石（CuSO4・7H2O）、亜鉛緑礬（(Zn,Mn,Mg,Fe)SO4・7H2O）など、多様な鉱物がこれに含まれます。これらの鉱物は、それぞれ異なる化学成分を持ちながら、共通の特徴を持っています。

まとめ

緑礬は、その多彩な用途と特異な化学的性質から、日本や中国の文化において重要な役割を果たしてきました。古くから利用されてきたこの鉱物は、今後もさまざまな分野でその特性が活かされることでしょう。

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