緑色の部屋

緑色の部屋 (1978年の映画)

『緑色の部屋』（La Chambre verte）は、1978年に公開されたフランソワ・トリュフォー監督によるフランス映画です。ヘンリー・ジェイムズの中篇小説『死者たちの祭壇』を原作とし、短篇小説『密林の野獣』や『こよなき友ら』もモチーフにしています。

概要

この映画は、死者の肖像や遺品で飾られた「緑色の部屋」で生活する男、ジュリアンの死者に対する愛情を描いた物語です。フランソワ・トリュフォー自身が主人公ジュリアンを演じています。「緑色」という題名には特に深い意味はなく、トリュフォーによれば、単に緑色を題名にした映画が少なかったからとのことです。ただし、神秘主義者ルドルフ・シュタイナーは「緑色は生命の死せる像である」と述べています。

トリュフォーは本作と『恋のエチュード』、『アデルの恋の物語』を「ロウソクの三部作」と呼んでいます。撮影監督のネストール・アルメンドロスとは、これらの作品に加えて『野性の少年』でもロウソクを使った撮影に挑戦しています。

ストーリー

1928年、フランス東部の小さな町。ジュリアン・ダヴェンヌは、若くして亡くした妻ジュリーへの愛情を忘れられず、彼女の写真や遺品を飾った「緑色の部屋」で、家政婦と聾唖の少年ジョルジュと共に静かに暮らしていました。

ある日、ジュリアンは妻の形見を買い戻すために競売に出かけ、そこでセシリア・マンデルという女性と出会い、親しくなります。セシリアもジュリアンと同じように死者を大切にする心を持っていました。ジュリアンは古い礼拝堂を買い取り、そこを「死者たちの祭壇」として、心に残る死者たちの写真を飾り、ロウソクを灯します。

ジュリアンはセシリアと共同で祭壇を管理することになりますが、ある日、セシリアの部屋で、かつてジュリアンの敵であったポール・マシニーの写真を見つけます。セシリアは彼の愛人だったのです。ジュリアンは絶望し、引きこもって食事も摂らず衰弱していきます。セシリアは手紙で自分の思いを伝えますが、ジュリアンは必死で祭壇へ向かい、セシリアの前で息を引き取ります。

キャスト

ジュリアン・ダヴェンヌ：フランソワ・トリュフォー
セシリア・マンデル：ナタリー・バイ
ベルナール・アンベール：ジャン・ダステ
ジェラール・マゼ：ジャン＝ピエール・ムーラン
家政婦：ジャーヌ・ローブル
ジョルジュ：パトリック・マレオン

解説

「死者たちの祭壇」には、ジャン・コクトー、ジャック・オーディベルティ、ジャック・ベッケル、モーリス・ジョーベールなど、トリュフォーゆかりの人々の遺影が飾られています。また、『突然炎のごとく』のオスカー・ウェルナーの写真も飾られているように見えますが、ジャンヌ・モローによれば、それはウェルナーに似たモーツァルトの肖像画とのことです。

亡くなった妻にそっくりの等身大の人形を作らせるエピソードは、ルイス・ブニュエル監督の『アルチバルド・デラクルスの犯罪的人生』からの引用です。

外部リンク

緑色の部屋 - allcinema
緑色の部屋 - KINENOTE
* La Chambre verte - IMDb（英語）

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