緒方武

緒方 武の生涯と業績

緒方 武（おがた たけし）は、1873年1月12日に熊本県西合志村で生まれた日本の剣道家であり、陸軍の軍人でもありました。彼はその人生の中で、剣道の普及に努め、教育や政治の現場でも深く関わりを持ちました。

幼少期と教育

父である清彦、母の千伊のもとで育った緒方は、心通学舎（現在の合志小学校）から済々黌に進学。その後、東京師範学校に入学し、オリンピックを目指す剣道の道を選びました。彼は新陰流（戸波派）の武道を学び、宮川末五郎から相伝を受けて第十九代当主に就任しました。

教育者としての活動

明治30年（1897年）から明治33年にかけて第五高等学校で教壇に立ち、同僚であり作家の夏目漱石と共に教えを広めました。1900年には武徳祭で柔道試合に参加し、剣道と柔道の二刀流の道を邁進しました。特に彼は政治活動にも力を注ぎ、明治36年からは熊本県議会議員に選ばれ、地方の発展に寄与しました。

大正時代の功績

明治40年（1907年）に満州へ渡り、その地で剣道の指導にあたりました。明治43年（1910年）からは旅順工科学堂で16年間にわたり教練を務めました。大正4年（1915年）には、大日本武徳会から精錬証を授与され、より高い指導者の地位に上り詰めました。

学びの場「合志義塾」の設立

昭和2年（1927年）、熊本県菊池郡の自宅敷地内に私塾「合志義塾」を設立し、教育の場として多くの農村の子弟に剣道を教えました。この道場は「護国殿」と名付けられ、教育と武道の両立を目指した場となりました。

晩年と剣道への情熱

昭和12年（1937年）には第八回春季青年演武大会で優勝し、剣道の実力を証明しました。彼は1940年6月4日に食道癌で68歳で逝去し、その際には700人以上の門弟を抱えていました。最後の言葉である「たびたびの地獄のつかいうるさくて、こんどこのたび退治せん」は、彼の剣道に対する情熱を物語っています。

優れた指導者の流れ

彼の死後、二代目殿主の緒方勲が護国殿を引き継ぎ、戦後の剣道再開にも貢献しました。昭和28年には剣道が禁じられていた時代を経て再開され、地域において先駆け的な役割を果たしました。

脚光を浴びた追悼

昭和43年（1968年）には文部大臣からの表彰を受け、剣道普及に対する彼の貢献が評価されました。彼の弟子たちも後を継ぎ、道場の活動は今も続いており、剣道の精神が脈々と受け継がれています。

このように、緒方 武は剣道を通じて教育や地域に多大な影響を与え、後世にその名が残る偉大な人物でありました。

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