緒方汐音

緒方 汐音（おがた しおね）は、1988年10月3日に大阪府泉南市で生まれた日本の女子プロボクサーです。大阪国際大学人間科学部スポーツ行動学科を卒業しています。

彼女のスポーツキャリアは、ボクシングとは異なる形で始まりました。高校時代は日ノ本学園高等学校でサッカー選手として活動し、大学進学後も大阪国際大学女子サッカー部で活躍。チームがインカレに初出場する上で貢献するなどの実績を残しました。しかし、怪我などの影響もあり、サッカーからフットサルへと転向します。このフットサルに取り組む中で、元プロボクサーである指導者と出会ったことが、彼女をボクシングの世界へと導くきっかけとなりました。アマチュアのジムでボクシングを始めた緒方は、この競技に新たな可能性を見出しました。

大学卒業後の2011年11月、プロテストに合格し、プロボクサーとしての第一歩を踏み出します。翌2012年4月13日、大阪府立体育会館第二競技場で行われた玉森麻保戦でプロデビューを果たしましたが、この試合は判定で敗れ、黒星スタートとなりました。プロ3戦目となる同年9月16日の浜本瑠美子戦で、待ち望んだプロ初勝利を挙げます。

しかし、その後は3連敗を喫するなど苦しい時期も経験しましたが、粘り強くトレーニングを続け、2014年6月20日のプロ8戦目で2勝目を挙げると、ここから調子を上げ、破竹の6連勝をマークします。この連勝中の2017年3月13日には、自身初となるボクシングの聖地、後楽園ホールでの試合に臨みましたが、矢吹純に判定で敗れ、連勝はストップしました。

同年9月30日、京都のKBSホールで、当時東洋太平洋ミニフライ級王者であり、後にIBF女子世界アトム級王者となる花形冴美との対戦が実現します。格上と見られた花形に対し、緒方は冷静な試合運びで判定勝利を収め、大きな金星を挙げ、タイトル戦線へと浮上しました。

この勝利を機に、緒方はタイトル獲得に向けた道を歩み始めます。2018年2月11日には、フィリピンのマニラでフロイピック・モンテロとのWBA女子アジアライトフライ級王座決定戦に挑み、敵地での不利な状況を跳ね返し、3-0の判定で勝利。自身初のプロタイトルを獲得しました。

さらに同年9月2日には、大阪の寝屋川市立市民会館で、塙英理加とWBO女子アジア太平洋ライトフライ級王座決定戦を戦います。ここでも安定したボクシングを見せ、3-0の判定勝利を収め、アジア太平洋地域の二つ目の王座を手に入れました。

2019年4月14日には、チャリマエ・サルバドール（フィリピン）とのOPBF女子東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦に挑戦。この試合では積極的に攻め込み、5回2分57秒でのTKO勝利を収め、東洋太平洋のライトフライ級王座も獲得し、三冠王となりました。

国内・地域タイトルを制した緒方は、世界王座への挑戦権を得ます。2021年4月4日、堺市産業振興センターイベントホールにて、WBO女子世界ライトフライ級王者である天海ツナミへの挑戦が実現しました。しかし、世界のトップレベルの壁は厚く、2回にダウンを奪われるなど厳しい展開となり、0-3の大差判定で敗れ、惜しくも世界タイトル獲得はなりませんでした。

世界挑戦失敗後もキャリアを続け、2021年12月16日にはメキシコへの遠征を経験しましたが、Rosa Olveraに8回判定で敗れています。

再起を目指し、2022年11月27日、大阪・176BOXで元OPBF東洋太平洋女子ミニマム級王者である葉月さなと対戦。この試合を2-0の判定で制し、白星で復帰戦を飾りました。しかし、2023年6月10日、エディオンアリーナ大阪第二競技場で行われた元日本女子フライ級王者の池本夢実との一戦では、0-3の判定で敗れています。

所属ジムは、プロデビュー時のハラダボクシングジムに始まり、ワイルドビートボクシングスポーツジム、寝屋川石田ボクシングクラブを経て、KWORLD3ボクシングジムに所属していましたが、2023年10月に同ジムとの契約を解除しています。

プロボクサーとしての最終的な戦績は、12勝（3KO）9敗1分を記録しています。

これまでに獲得した主なタイトルは以下の通りです。

WBA女子アジアライトフライ級王座
第2代WBO女子アジア太平洋ライトフライ級王座
* 第6代OPBF女子東洋太平洋ライトフライ級王座

サッカー・フットサルからボクシングへと異色の転身を遂げ、国内外でタイトルを獲得した緒方汐音は、そのキャリアを通じて多くのファンを魅了しました。

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