編集ファミコン

編集ファミコン（ファミコンタイトラー）

編集ファミコン、またはファミコンタイトラーとは、1989年にシャープが発売したファミリーコンピュータの互換機です。この機械は、マイコンピュータテレビC1やツインファミコンに続く製品で、任天堂の許可を得て製造・販売されています。特徴的なのは、ビデオ編集機能が搭載されている点と、映像出力端子にS端子が追加されていることです。本機の販売価格は、発売当初43,000円でした。

名称と表記

このゲーム機は「編集ファミコン」と「ファミコンタイトラー」という二つの名前を持っており、製品の表面やコントローラーにどちらかの表記がされている場合があります。取扱説明書では主に「編集ファミコン」が使われているものの、一部のページでは「ファミコンタイトラー」の名称も見られるため、一貫性に欠けている部分があることも興味深いです。

発売時の状況

発売後、本機はゲーム雑誌でも紹介されましたが、特に『ファミリーコンピュータMagazine』や『ファミマガVideo』の1989年5月号では、ビデオカメラを使った編集方法やタイトル合成の使用例が詳しく紹介されています。しかし、ビデオ編集機能とゲーム機能を求めるユーザー層が異なることや、ツインファミコンよりも高価であるため、普及はなかなか進みませんでした。その結果、編集ファミコンは一部のマニアに知られる存在となり、翌年にはスーパーファミコンに世代交代しています。

以降、インターネットの発展や在庫品の放出とともに、その存在は広まりました。特に、中古市場では希少性や独自の画質向上機能から高値が付くことがあります。

ハードウェアと映像出力

編集ファミコンは、映像出力においてS映像に対応しており、PPU（ピクセル処理ユニット）には任天堂のファミコンで使用されていたRP2C02の互換チップ「RC2C05-99」が搭載されています。このチップはRGB出力が追加されており、内部でコンポジット映像信号やS映像信号に変換されます。これにより、ユーザーはより鮮明な画質を楽しむことができるのです。

本体には、コンポジット映像出力端子や音声出力端子、RFコンバータ接続端子に加えて、S映像出力端子も備わっています。この接続により、テレビと組み合わせて高画質でゲームを楽しむことが可能になります。また、映像出力を強化した改造を施す熱心なファンもおり、RGB信号を直接引き出すことでさらなる画質向上を図っています。

ビデオ編集機能

編集ファミコンの最大の特徴であるビデオ編集機能は、各種スイッチが用意されており、カセットを接続しない状態で「編集」モードに入ることができます。本体には、映像や音声の入力端子があり、内蔵ソフト「ファミコンタイトラー」を使用すると、ビデオ編集が可能となります。この機能により、特別な行事やイベントの映像にテロップやナレーションを追加できるのです。あらかじめ用意されたサンプル集には、季節の行事や子供の成長に関連する素材が揃っています。

文字入力には専用のタブレットとタッチペンが使われ、音声の挿入はコントローラーに備わったマイクを介して行うことができます。また、本体のスーパーインポーズスイッチを切り替えることで、ゲーム内のビジュアルとビデオ映像を合成することも可能です。とはいえ、文字認識の精度については当時の技術に制約があったため、実用性には限りがあるのが特徴です。

このように、編集ファミコンはゲーム機としてだけでなく、独自のビデオ編集機能を持つ、特異な存在であったことが分かります。

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