繁野天来

繁野天来（しげの てんらい）の生涯と業績

繁野天来は、1874年に徳島市で生まれ、日本を代表する詩人と英文学者として活躍しました。本名は繁野政瑠であり、後には繁野狂美という別名も使いました。彼は早稲田大学で四人目の博士号授与者としても知られています。

幼少期と学業

繁野は徳島藩士の家庭に生まれ、徳島市立の複数の小学校を経て、1889年には徳島県立徳島尋常中学校に入学しました。しかし、祖母を失ったことで大阪に移ることとなり、そこで大阪市立尋常中学校に転校します。在学中には熊本謙二郎から英語の指導を受けていました。1893年には第三高等学校に入学しましたが、病気のために中退を余儀なくされました。

その後、1894年に東京専門学校文学科に入学し、詩作を開始。文芸雑誌『早稲田文学』に作品を投稿したり、「新詩会」を結成するなど、文学活動を本格化させました。1897年には家庭の事情で再び退学し、翌年からは函館毎日新聞で記者として社会面を担当しながら、詩や小説を執筆しました。

教育者としての歩み

1899年に上京し、京都に居を移してからは真宮信用学校の英語教師として教師生活をスタートしました。1900年、彼は熊谷勝太郎の娘・武子と結婚し、その後も教職を続けました。1905年には英語教員免状を取得し、茨城県立水戸中学校や愛知県立第二中学校で教鞭をとります。この間に、ミルトンやメリディスといった文学者の研究を開始しました。

1911年には長男を亡くし、続いて長女や次男を授かりますが、家庭は一時苦しい試練に見舞われます。1916年には台湾に渡り、台北中学校で教えることになりましたが、このころには糖尿病を宣告されたことが影を落としました。

学問の頂点

1921年には高等学校高等科英語教員検定試験で第1位の成績を収め、早稲田大学に赴任。その後、早稲田大学の教授としての地位を確立し、1926年からは高等師範部、1927年からは文学部の教授として教壇に立ち続けます。しかし、1932年に博士論文を提出したものの、病気により自宅療養を余儀なくされ、1933年には肺癌と診断されます。

逝去と遺産

彼は1933年2月に早稲田大学から文学博士の学位を受け、そのわずか数日後に63歳でこの世を去りました。彼の博士論文『ミルトン「失楽園」の研究』は、文学界において非常に評価が高く、彼の後世に渡る影響を大きくしています。また、彼の著書や訳書は、日本における英文学の理解と普及に大きく貢献しました。

主な業績

繁野天来の著書には『教育小説 青葉若葉』や『近代英詩法』、『「失楽園」研究』などがあり、特にミルトンの研究はその業績の中でも突出したものとされています。また、精力的に翻訳活動も行い、多くの作品を日本語に紹介しました。彼の業績は、その時代の英文学界における重要な礎となっています。彼の生涯は、文学と教育の両面において、日本の近代文学の発展に寄与した偉大なものでした。

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