繰り延べ投票

繰り延べ投票とは

繰り延べ投票（くりのべとうひょう）とは、日本における選挙や憲法改正の際、自然災害や事故など避けられない理由で元の投票日が変更される場合に実施される特別な投票プロセスです。この制度は、公職選挙法第57条以及び憲法改正手続に関する法律第71条で定義されています。送付仮名を省略して「繰延投票」とも書かれることがあります。

投票日が繰り延べられる際には、新たに設定された投票日についての告示が必要です。選挙の場合はその2日前まで、憲法改正時の投票に関しては5日前までに告示を行わなくてはなりません。また、臨時特例法に基づいて投票日の延期が行われることもあります。これにより、選挙の公平性が保たれるよう配慮されているのです。

繰り延べ投票の実例

公職選挙法第57条に基づく繰り延べ投票の例として、1965年及び1974年に実施された国政選挙の事例があります。特に、1965年の参議院選挙では熊本県の坂本村や五木村が集中豪雨の影響で投票が繰り延べられました。同様に1974年の参議院選挙でも、三重県の伊勢市の一部や御薗村が豪雨によって変更を余儀なくされました。これらは当時の厳しい気象条件が引き起こした事例として記録されています。

さらに、公職選挙法制定前にも繰り延べ投票の例は存在します。1947年の参議院選挙においては、長野県の飯田市で投票が延期されました。

地方選挙の場合でも、類似の例が見受けられます。1992年には沖縄県の竹富町で、当初予定されていた投票日が台風の影響で延期され、最終的に9月4日となった事例があります。このような事例は全国的にも稀で、過去に1、2度程度しか見られないものとされています。また、鹿児島県の住用村で行われた村長のリコールに伴う住民投票でも、2004年に台風の影響で投票日が繰り延べられました。

近年のトピックでは、2010年に青森県のおいらせ町長選挙が、チリ地震後の大津波警報により投票所が閉鎖されたため、投票が3月7日に繰り延べられました。さらに、2014年には豊見城市長選挙も台風の影響で同様の措置が取られ、元の投票日から一週間延期されることとなりました。

臨時特例法による繰り延べ

臨時特例法によって投票日が延期された代表的な例に、1995年に予定されていた兵庫県議会議員選挙があります。この選挙は阪神・淡路大震災によって大幅に影響を受け、選挙日が通常のルールではなく、特例法に基づいて6月11日に変更されました。

さらに、2011年に起こった東日本大震災後には、多くの地域で臨時特例法に基づき投票日が変更されました。この時は岩手県、宮城県、福島県等の4つの県で知事選や地方議会選挙の期日が延長され、被災地での投票がスムーズに行えるよう配慮されました。

以上のように、繰り延べ投票は選挙の制度の中で非常に重要な役割を果たしています。天災やその他の事情により、適切に投票を行うことが難しい際に、その公平性と正当性を保つための柔軟な仕組みとして存在しています。

もう一度検索