繰延税金負債

繰延税金負債について

繰延税金負債（Deferred Tax Liability）とは、企業会計において、税務上の利益と会計上の利益におけるタイミングの相違から生じる負債のことを指します。この負債は、企業が将来において支払わなければならない税金に関連しており、税効果会計において重要な意味を持っています。

概要

企業が報告する損益において、一時的な差異（税務上の一時加算や一時減算）が発生することがあります。繰延税金負債は、これらの一時的な差異を調整するための項目です。具体的には、ある期間において課税所得が税務上での計上と会計上での計上に差異がある場合、当期の課税所得が減少し、それに関連する将来の税金を支払う義務が生じます。これにより、企業の貸借対照表には繰延税金負債が計上されることになります。

繰延税金負債の認識には条件があり、税務と会計の収益の不一致が恒久的に解決されない場合には計上できません。例えば、受取配当金に関する恒久的な差異は、繰延税金負債として認識されません。

繰延税金負債の計上

繰延税金負債は、法人税の調整額に影響を与えます。例えば、繰延税金負債が増えると、法人税等の調整額が計上され、その分当期純利益は減少します。一方で、将来においてこの負債が減少すると、当期純利益はその分増加します。

主な項目

主に繰延税金負債が計上される項目には、次のようなものがあります。

• - 固定資産圧縮記帳：積立金方式を使用する場合には、企業会計上の取得価額と、税務上の取得価額から圧縮積立金を引いた額の差異が生じます。
• - 有価証券の評価差額：その他有価証券の評価益に関しても、繰延税金負債が影響を受ける可能性があります。

会計基準の変化

日本の会計基準においては、かつては流動負債と固定負債を分けて表示していました。しかし、国際財務報告基準（IFRS）や米国の会計基準に則り、2018年からは繰延税金資産とともに一律に固定負債として表示されるようになりました。これにより、企業の財務報告はより透明性が高く、国際基準に合わせたものとなりました。

結論

繰延税金負債は企業会計を理解する上で欠かせない要素です。税務上の増加分と会計上の利益の調整を通じて、企業の財務状態や将来の税金支払義務を示す重要な指標となります。税効果会計の理解を深めるためにも、繰延税金負債の役割や影響を把握しておくことは非常に有益です。

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