纐纈あや

纐纈あや（はなぶさ あや、1974年 - ）は、日本の映画監督であり、特にドキュメンタリー映画の分野でその才能を発揮しています。

東京都出身の纐纈監督は、自由学園最高学部を卒業後、半導体商社にOLとして就職しました。しかし、与えられた仕事をするだけの毎日に疑問を感じ、3年で退職。その後、自身のライフワークとなる仕事を探す中で、映画製作の世界に足を踏み入れました。

2001年、写真家・映画監督である本橋成一が主宰するポレポレタイムス社に入社し、映画製作の現場で経験を積みました。本橋監督の作品である「アレクセイと泉」（2002）や「ナミイと唄えば」（2006）の製作に携わったことは、彼女の映画監督としてのキャリアの礎となりました。

2010年、纐纈監督は初の監督作品となるドキュメンタリー映画「祝の島（ほうりのしま）」を発表しました。瀬戸内海の祝島を舞台に、自然と共生する人々の暮らしと、原発反対運動の様子を捉えたこの作品は、2012年のシチリア環境映画祭でドキュメンタリー部門最優秀賞を受賞。その高い芸術性と社会性が国際的に評価されました。

2013年には、2作目となるドキュメンタリー映画「ある精肉店のはなし」を監督しました。大阪府貝塚市にある北出精肉店の家族の日常を丁寧に描いたこの作品は、釜山国際映画祭や山形国際ドキュメンタリー映画祭といった国際的な映画祭で上映されたほか、ニッポン・コネクションで観客賞を受賞、キネマ旬報文化映画ベスト・テン第2位、辻静雄食文化賞、文化庁映画賞文化記録映画部門大賞など、数々の賞を受賞しました。本作は、精肉店という特定の場所を舞台に、家族の絆、食文化、社会構造といった普遍的なテーマを描き出し、多くの観客の心を捉えました。この作品の製作をきっかけに、纐纈監督は自身の映画製作会社「やしほ映画社」を立ち上げ、精力的に活動を続けています。

纐纈監督の作品は、単なる記録映像にとどまらず、そこに生きる人々の感情や社会の構造を深く掘り下げて描いています。その繊細な視点と、社会に対する鋭い洞察力は、多くの観客を魅了し、ドキュメンタリー映画の可能性を広げていると言えるでしょう。

監督作品

祝の島（ほうりのしま）（2010年）
ある精肉店のはなし（2013年）

出典

祝の島　公式サイト
ある精肉店のはなし　公式サイト
いのち・食・家族をつなぐ～ある精肉店のはなし
やしほ映画社

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