羅希奭

羅 希奭の生涯と経歴

羅希奭（ら きせき）は、唐代の官僚であり、その生涯には数多くの波乱がありました。彼の出身は杭州にある銭塘県で、洛陽の近くで生活していました。官吏となった背景には、義理の父である李林甫の影響があり、彼が与えた手助けが大きく影響しています。李林甫の婿であり、なおかつ鴻臚少卿であった張博済の外甥だったことから、羅希奭は政治の場に足を踏み入れることとなります。

当時、彼は法を厳格に適用し、その手法は非常に冷酷だと評されていました。天宝初期において、李林甫のもとで吉温とともに重用され、その結果、彼は多くの人々を権力の道具として使用しました。この時期、多くの疑獄事件が発生し、羅希奭はその中心にいました。

権力の絶頂

天宝6載（747年）、監察御史に就任した彼は、李林甫の命令を受けて、罪を着せられた人々を次々と殺していくこととなりました。名だたる人物、韋堅や李邕なども彼の手によって命を奪われました。その影響の大きさから、李適之と王琚は彼が来ることを知り自ら命を絶ったと言われています。また、楊慎矜に関しては著名な詮議に参加し、しばしば吉温と共に「羅鉗吉網」と呼ばれる冤罪の仕掛けを行ったとされています。

この時期、彼は御史台の主簿から殿中侍御史に昇進し、さらに天宝8載（749年）には郎中に昇進するなど、順調な出世街道を歩んでいました。

失脚と降格

しかし、天宝11載（752年）、李林甫が死去したのを境に彼の運命は一変します。中部始安二郡の太守として地方に出されることになり、次第にその名声は衰退の一途を辿ることとなりました。天宝14載（755年）、流罪となった張博済や吉温が始安郡に流れ込んできた際、羅希奭は彼らを保護しましたが、宰相の楊国忠の命で始安郡太守の座を追われ、海康県尉員外に降格されるという屈辱を味わうことになります。流罪者たちは結局、杖刑にされて命を落とす結果となります。

彼の評価と記録

羅希奭の生涯は『旧唐書』や『新唐書』に記録されており、彼の行動やその後の降格は、トリースと呼ばれる酷吏の一人として高く評価されています。彼の生涯は、権力を持つことが如何に人を変えるか、また、その力を失った時、どのような運命が待っているのかを考えさせるものであると言えるでしょう。彼の存在は、唐代の政治の暗部を象徴しているとも言えます。

もう一度検索