羅東郡

羅東郡は、日本統治時代の台湾における地方行政区画の一つで、台北州に属していました。この郡は、現在の宜蘭県にあたる地域の一部を管轄しており、その中心は羅東街でした。具体的には、羅東街、五結庄、三星庄、冬山庄、そして蕃地（当時の行政区分における先住民族居住地域）の1街3庄1蕃地を統治していました。

郡役所は、羅東街に置かれ、郡全体の行政を担っていました。郡の領域は、現在の宜蘭県羅東鎮、五結郷、三星郷、冬山郷、そして大同郷の区域に相当します。これらの地域は、豊かな自然と農業が盛んな場所であり、当時の台湾における重要な地域の一つでした。

羅東郡の行政機構は、日本の地方自治制度を基盤としており、郡守が郡の長として行政を執行していました。歴代の郡守には、木浦角太郎、横山利助、棈松熾（1930年4月 - ）、菱沼宇平、梅谷修三（1932年3月 - ）、小野田快雄（1934年9月 - ）、数山英一（1936年10月 - ）、丸木末次郎、本田武二、大串孫作といった人物が名を連ねています。

1945年3月、第二次世界大戦末期には、重慶国民政府によって台湾接管計画綱要地方政制が策定されました。この計画では、羅東郡の領域を羅東県とする案が含まれていましたが、この政制自体が廃止されたため、計画は実現しませんでした。もし実現していれば、羅東郡は新たな行政区画として再編される可能性がありました。しかし、その後の台湾の歴史的変動により、この計画は歴史の中に埋もれることとなりました。

羅東郡は、その短い歴史の中で、台湾の地方行政の一翼を担い、地域の発展に貢献しました。現在では、その痕跡は地名や歴史記録の中に残るのみですが、当時の台湾社会を理解する上で重要な存在であったと言えるでしょう。

参考文献

台湾新民報社 編『台湾人士鑑』呂霊石、1937年。http://mhdb.mh.sinica.edu.tw/mhpeople/bookImage.php?book=TW。
興南新聞社 編『台湾人士鑑』呂霊石、1943年。http://mhdb.mh.sinica.edu.tw/mhpeople/bookImage.php?book=TX。

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