羅漢寺 (甲斐市)

羅漢寺について

概要

羅漢寺（らかんじ）は、山梨県甲斐市千田に位置する寺院で、現在は曹洞宗に属しています。寺院の山号は天台山で、本尊は阿弥陀如来です。羅漢寺は、周囲の自然と調和した美しい景観が魅力的であり、山梨県を代表する観光地、昇仙峡の近くにあります。

沿革

羅漢寺の歴史は古く、かつては「北山筋の高野山」と称される真言宗寺院でした。現在の位置から北西方向の荒川支流、羅漢寺沢沿いにあった旧地から移転し、荒川右岸にある標高1058メートルの羅漢寺山南東の山麓に移りました。この地域は、平安時代の甲斐国で天台と真言密教が影響を及ぼし、山岳信仰が広まりました。特に、金峰山は富士信仰と並ぶ御獄信仰の中心地となり、羅漢寺はそのための修験道場としての役割を果たしました。

歴史書『甲斐国社記・寺記』によると、羅漢寺の創建年代ははっきりしないものの、天台座主の有金が開祖で、俊屋桂彦が開山したと伝えられています。『甲斐国志』では、寺院の創立が戦国時代の大永年間（1521年 - 1527年）に遡ることが示されており、当時の中山広厳院の4世住職である俊屋圭彦が、中興して末寺とし、曹洞宗に改めたことが記されています。

羅漢寺の諸堂は、1651年に発生した火災によって焼失し、その後廃寺に至ったとされていますが、文献によれば小堂が再建され、活動が続いていたことが確認されています。1985年には寺域の発掘調査が行われ、本堂や庫裏の遺構が発見され、同時に陶磁器や金属製品などの貴重な遺物が出土しました。

文化財

羅漢寺には、県指定の重要文化財が二つ存在します。まず一つ目は、昭和59年（1984年）に指定された木造の阿弥陀如来坐像であり、もう一つは同じく昭和59年に指定された木造の五百羅漢像です。これらの文化財は、地域の歴史と文化を深く理解するための貴重な資料となっています。

参考文献

羅漢寺について知識を深めるためには、いくつかの文献が参考になります。笹本正治の『天台山羅漢寺をめぐって』や、研究例会の「御獄信仰と羅漢寺-問題提起-」が特に有用です。その他にも、清雲俊元の「甲斐金峰山信仰について」や末木健の「羅漢寺跡発掘調査報告」、上松又次の「天台山羅漢寺などの彫刻」、羽中田壮雄の「御獄路南・西口の石造美術」など、多様な視点からの研究が行われています。

関連項目

この地方の仏教の発展や昇仙峡との関連性についても触れることができ、地域の文化や歴史の魅力を深く知ることができるでしょう。

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