昇仙峡

昇仙峡



昇仙峡は、山梨県甲府市の北部、荒川上流に位置する渓谷で、その美しい景観から「日本五大名峡」の一つに数えられています。1923年に国の名勝に指定され、1953年には特別名勝に指定されました。正式名称は御嶽昇仙峡ですが、一般には御岳昇仙峡と表記されることが多いです。

地形と景観


秩父多摩甲斐国立公園内にあり、長潭橋から仙娥滝までの約5キロメートルにわたる渓谷は、荒川が花崗岩を深く侵食して形成されました。渓谷内には、柱状節理の花崗岩や輝石安山岩からなる奇岩が点在し、自然が作り出した造形美を楽しむことができます。特に覚円峰は、昇仙峡のシンボルとして知られる高さ約180メートルの巨岩です。その他にも、石門、天狗岩、めまい岩など、ユニークな名前を持つ岩が数多く存在します。

アクセスと観光


渓谷の入り口である長潭橋から能泉地区までは、道幅が狭いため、土日祝日には車両通行規制が行われます。能泉地区から仙娥滝にかけては、渓谷のハイライトとなっており、多くの観光客が訪れます。仙娥滝周辺には駐車場も整備されており、観光拠点となっています。年間を通して多くの観光客で賑わいますが、特に紅葉シーズンには周辺道路が渋滞するほどです。公共駐車場観光施設、土産物店にも駐車場が併設されています。

見どころ


昇仙峡には、数多くの見どころがあります。

神社・寺院:
金櫻神社
夫婦木神社
夫婦木神社姫の宮
羅漢寺
湖水・ダム:
能泉湖
荒川ダム
:
仙娥滝日本の滝百選
大滝
ロープウェイ:
昇仙峡ロープウェイ(仙娥滝から弥三郎岳頂上まで運行)
橋梁:
長潭橋(選奨土木遺産)
新静観橋
静観橋
昇仙橋
羅漢寺橋
有明橋
愛のかけ橋
千田橋
岩石:
覚円峰
石門
天狗岩
めまい岩
よろい岩
かぶと岩
筆立岩
えぼし岩
登竜岩
寒山拾得岩
五月雨岩
ふぐ石
はまぐり石
松茸石
ねこ石
富士石
ラクダ石
猿石
トーフ岩
オットセイ岩
大砲岩
* 亀石

歴史


昇仙峡は、古くから金峰山信仰と深く結びついていました。修験道の道として御嶽道が整備され、多くの人が金峰山を目指しました。近世には甲州街道が整備され、多くの文人が昇仙峡を訪れ、その美しい景観は広く知られるようになりました。江戸時代には、御岳新道が開削され、観光ルートとしても利用されるようになりました。

近現代


明治時代には「御嶽昇仙峡」と命名され、大正時代には道路が整備され、観光地として発展しました。昭和時代には、渓谷百選の一位に選ばれ、特別名勝に指定されました。近年では、有料道路が無料化され、より多くの人が訪れるようになっています。2009年には、読者が選ぶ「平成百景」で富士山に次ぐ第2位に選ばれました。

昇仙峡を描いた絵画


昇仙峡の景観は、多くの画家たちを魅了し、数々の作品が残されています。江戸時代には、竹邨三陽が『仙嶽闢路図』を描き、昇仙峡を景勝地として紹介しました。明治時代には、三枝雲岱が明治天皇に『御嶽新道図』を献上しています。また、野口小蘋、富岡鉄斎、鶴田機水、河内雅溪、近藤東来、近藤浩一路片岡球子など、多くの画家が昇仙峡を題材にした作品を制作しています。

漫画・映画


昇仙峡は、つげ義春の漫画『池袋百点会』や、それを映画化した『ゲンセンカン主人』のラストシーンにも登場します。また、テレビドラマのロケ地としても使用されています。

周辺の見どころ


仙娥滝の近くには、昇仙峡影絵の森美術館があり、藤城清治の作品を中心に影絵切り絵が展示されています。この美術館は、世界一の影絵美術館としてギネスブックにも認定されています。

交通アクセス


甲府駅からは、山梨交通バスで約45分で昇仙峡滝上に到着します。また、仙娥滝からは、昇仙峡ロープウェイを利用して弥三郎岳頂上まで行くことができます。冬季にはバスの運行区間が変更になるため、注意が必要です。

その他


昇仙峡に由来する食事として、御岳そばがあります。御岳そばの「御岳」は、昇仙峡の正式名称である御岳昇仙峡を意味します。

昇仙峡は、その美しい景観と豊かな歴史から、多くの人々を魅了し続ける魅力的な場所です。

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